俺は異世界に行かないぞ

長槍

はじまり

第1話 神を自称する男

ある時、俺は死にかけた。いや死んだ。

部活帰りに雨でぬれたホームに足を滑らせて、そのまま電車に轢かれたのだった。


で、じゃあ何故こんな不可能な回顧ができるのか。

毎度おなじみのアレである。おそらくタイトルに釣られた方なら分かるかもしれない。

まず周囲は真っ暗。何やら中世風の椅子が対面する形で二つ。俺と男が座っている。

その男はやたら長くて白い顎鬚あごひげを持つ爺さんで、なぜか神を自称している。いかにもそんな感じだ。なんかごっつい杖持ってるし。


まあ、こうなったら聞かなきゃならないことを聞くまでだろう。


「俺は死んだのか。」


神を自称する爺は答えた。


「君はですねえ、まず今日は夕立だったでしょう、それでね、電車、何行きだったっけね・・・・」


話だけは長い爺だ。俺は苛立ちを抑えられない。うすうす気づいてるが、たぶん俺は死んだんだろう。じゃあわざわざ礼儀礼節正しくする必要は?クソッタレってもんだ。


「死んだの?死んでないの?どっち?」


「死にました・・・」


これが俺と神を自称する人物(この時点で俺は神とは認めていない)との馴れ初めだった。



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