第2話 生き返りたい
「死んだ?この俺が?マジで言ってんの?」
どうやらこの神自称男、以後爺のなかでは俺は死んだらしい。やはりか。
爺は続ける。
「そうなんじゃよ。見てみるか?」
突然右に白い丸が現れ、俺の肉体が晒される。今の俺を映すスクリーンだった。一言でいえば、モザイク必須。
10秒ほど見つめる。
「死んどるじゃろ?」
「うん。死んでる。
で?」
「で、と言われてもじゃな・・・あ、そうじゃ。君にはじゃな、今とは違う別の世界に転生してもらうことになっておる。」
はいきた!!!!テンプレ!!!!テンプレ!!!!うすうす気づいてはいたけどね!!!!はいこれ確定イベね!!!!!
一応何のことかわからない読者のために説明しておく。
異世界転生、すなわち異世界ファンタジーとは!昨今のアニメマンガ界隈で盛り上がっているジャンルの一つである。
その大まかな概要は、何らかの原因で命を失った
主人公(ほとんど男、十代中盤から後半)
がたいてい神様からチートじみた能力を付加されたりされなかったりした後
異世界(中世風、魔法、モンスターあり。こちらの動物はネコ科だけいる。)
に転生し、死ぬ前に得た知識で無双するか、現世の苦行からの解放感に任せてワイワイガヤガヤと騒ぐか、そんな感じの内容である。
ちなみにたいてい悪い魔王が地上を支配しているが魔王を倒す作品もあれば、倒さない作品もあるから、実際のところそこは各人の裁量なんだろう。
そして一番の目玉が、異世界に住む美少女である。たいてい現世ではありえないような高嶺の花とくっつくことができる。現世の法律や世間の目などが取り払われるため、一夫多妻制を敷く色ボケ野郎もいる。
といった内容のラノベかマンガかアニメの、まさしく導入部分に今差し掛かっているというわけだ。リアルで。
しかし俺はここで死ぬわけにはいかない。
家に帰れば撮り貯めたアニメ(今季最終話)があるし、明日は学校で同じクラスの好きな子(まだ誰かは言えないけど)に告白しようと思っていた。
マジで死ぬには最悪のタイミングである。
(マズいな、死にたくない)
そこで俺は芝居に出ることにした。
ハァーととても大きなため息をついた後、
「まいったな~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(呆れ)(大声)あ、生き返ることは出来ないんですか?(真面目)」
「そういわれてもじゃな~規定なもんでな~死んだ人間が生き返るのはなんかこう、自然の摂理に反するっていうのはわかるじゃろ?」
予想通りの回答。
「俺、帰って撮り貯めたアニメがあるんすよ。(真面目)」
「諦めるんじゃな」
「俺、明日告白するんだ。(真面目)」
「死んでから言えば生存フラグに裏返るとでも思ったのか。」
(情には
鼻から期待していない作戦だったが、やはりダメだったか。少し恐怖が襲った。こいつは手ごわいな、と思った。
爺は容赦なく進める。
「で、君はじゃな、この魔王に支配された世界に転生して、冒険者として・・・」
「すみません。少し考えさせてください。」
俺は震えた声でそう言った。
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