ヒカルの碁に例えると。
最強の棋士、藤原佐為が「やれやれ」って言いながら、ヒカル(女体化)とアキラ(女体化)に、アレコレと仕込む話。
(若干あやしい表現で、大変失礼しました)
カクヨムって、「書いている」読者さんが多いと思うんですけど、
書くって、「決める」側面があると思うんです。
キャラを決め、動機を決め、世界観を決め、展開を決め……。
その決定のそこかしこに、論理的思考の跡が見えるから、世界の広がりを感じるわけです。
決定された世界のアレコレがミルフィーユのように、多層になって襲ってくる!
やばい! ミルフィーユに、逆にこっちが食われる!!
逃げてえええええ!!
いや。
読んでえええええ!!
まず最初に、「縛りプレイ」とはゲーマーたちがいうところの「低レベルでゲームクリア!」とか「装備なしでラスボス撃破」であって、「亀甲縛り」とか「緊縛師」などのエロい方ではない。
ひとこと紹介からそういうのを期待された方は、一応こちらhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054883930614をオススメしておく(ぁ
というわけで、今作は主人公の縛りプレイである。
圧倒的な力の持ち主である主人公、冒頭でいきなり地球を救って死んだと思いきや、何故かファンタジーな世界に飛ばされてしまった。
どうやらそこはゲームの世界らしいのだが、それにしてはその世界観では有り得ない、主人公が得意とする超能力なんかが使えてしまう。
これはどういうことだと慎重な主人公、かくして彼の「出来る限り裏方に徹する」縛りプレイが始まった。
もっとも、それでも隠しきれない俺TUEEEEが炸裂するんですけどねw
縛りプレイでも強い主人公、控えめに言っても最高ですわ!
ガジェットのおもしろさというのは、いつの世にも存在する。007は銃や車に巧みな仕掛けをしたし、少年探偵団は七つ道具で正体不明の敵と対峙した。特別な改良をほどこした特別な装置というのは大変楽しいもので、今でもそういうものが出てくるとわくわくする。
この物語は緻密な設定と複雑な構成がからみあってできあがっており、個々の登場人物の背景が組み合わさる。実に情報量が多いのだが、それが実にいい。次にどんな仕掛けが出てくるのか、どこまで無茶苦茶をするのか、どちらに物語を引っぱって行くのか、不思議と気になる。
情報量に圧倒されながら、先を読み進んでいくのも、何が出てくるのか楽しみであるからだ。
目の前の設定と展開。それを楽しみつつ、連載中でまだ明らかにされていない世界と主人公の秘密に近づいていきたい。
あらゆる異能を使いこなし、最強かつ万能を身にまとい世界を滅ぼす闇に立ち向かった主人公。序盤から繰り広げられる展開は、手に汗握るものだった。まさに怒涛のクライマックスを演出し、その先にはハッピーエンドが待っているかと思いきや、主人公はまさかの異世界へ。
まったくの別世界。そのことに戸惑い、言語の壁にもぶつかりはするが、それらも自らの異能を駆使し攻略する。最強かつ、万能。その意味がよく印象付けられた。
であるなら、よくある俺TUEEEE系の作品かと思ったが少し気色が違った。可愛らしいヒロインたちに囲まれて、最強の力をもって悪の根源を打倒する。そうではなく、あくまでなれたのが非戦闘職であり戦闘職のサポート役。掃除、洗濯といった生活感あふれるものだというのだから読んでいて面白かった。しかし反面、『最強のサポート役』という肩書ならかなり頼もしいのではないかとも感じた。
そもそも、ジョブというからにはゲームの世界観が想像しやすいが、果たして現実なのか、仮想現実なのか。主人公が冒険者の戦闘系ジョブになれる条件をひとつもクリアできていないというのも気になる。それらの伏線などもうまく散りばめながら、最後にはどんな結末を迎えるのか、先が気になる作品。
フォローさせていただきましたので、読んでいきたいと思います。更新、頑張って下さい。