心底震えた。隣の部屋で家族が団らんしていたから良かったものの、とてもじゃないが夜に一人では読めない。やはりお葬式というのは、何かしらの「霊障」が起きる場であるのかもしれませんね。赤いヌメヌメの裸の子供をはじめとした怪異現象、そして得体の知れない親子など、結局あれはなんだったんだという説明のつかない不確かさがゾッとさせますね。これを稲川淳二さんが読んだら最恐だろうなぁ。いやぁ、怖い怖い。今日は洗髪中に頭上が気になりそうだ……。
子どもの頃の恐怖体験なのです。この話を読み終えてから、自分の中で折り合いをつけていた子どもの頃の引っ掛かりが捲れ上がってきて何かが這い出してくるような気分になりました。何処にでも怖い物はいますよ。あなたの記憶の奥にも。
いわゆる「恐怖体験」を語る時、人は知らず知らずに饒舌に――つまり「話を盛り上げよう」と語り口や演出に凝ってしまいがちだ。 しかし本作は、あくまでも筆者の実体験を、飾らず盛らず、ありのままが伝わるようにシンプルな語り口に徹している。 そしてそれが逆に体験の「生々しさ」を読者に如実に伝える結果になっている……。 飾らないからこその恐怖というものもあるのだな、と思い知った。
幼い頃のお葬式のお話し。これが現実に起こったなら僕はおしっこを漏らして失神すると思います……雰囲気のある文章でぐいぐい読ませるのですが、怖いの無理という人は引き返したほうがいいよう思います。いや、やっぱり最後まで読んで穴の中の引きずり込まれて欲しい気も……本格的な怪談話でした!