赤と黒。鮮烈な対比

 前半と後半で、色合いの変化を意識した演出が物語を映像的に魅せてくれている。

 簡潔で読みやすい文章でありながら、粋な演出まで入れる姿勢に、作者の遊び心が垣間見えた気がした。

 黒の景色に浮かんだ異質な赤。それは物語の景色を侵食し、圧倒的な存在感を放つ。
 しかし、「私」の目の前に広がる底知れぬ闇は、その赤をも塗りつぶす絶対的な黒。
 もし、その闇に引きずり込まれたら......

その他のおすすめレビュー

辻沼藤虎さんの他のおすすめレビュー8