読みやすい一話完結の掌編ホラーですが、短い中にもきっちり構成が成されていて続きを読む手が止まりません。また一話完結と言っても、全体的にどろりとした黒が、薄気味の悪いモヤがかかっているような統一感があるのがよいです。個人的な趣味としては、西洋民俗学ネタがうまく織り交ぜられていた一話がお気に入りです。
いつも通りの平穏が、永遠に続くとは限らない。予兆もなく、切っ掛けさえもなく……恐怖は訪れるもの。この作品で、恐怖とは何なのかを改めて考え直すことが出来ました。読みやすい長さで、話の構成もしっかりしていて、面白かったです。
第4話「霧の夜」まで読了。「霧」の名を冠するにふさわしい幻想怪奇の物語でした。鋭い恐怖ではなく、霧のように立ち込めた恐怖を感じながら、私自身もその霧に包まれた気分になりました。また霧に浸りたいと思うときが来るので、そのときまで続きの物語は残しておきます。