ローマに敗れ、逃れた異国で毒杯を煽って死んだ、カルタゴの名将ハンニバル。
しかし彼は、今わの際の父に打倒ローマを誓った若き日へと、時を遡っていた。
ハンニバルの二度目の戦いが始まる。
塩野七生『ローマ人の物語』のハンニバルは読んだ筈ですが、概ね忘れているので。
「何か、見た覚えのある人名がいっぱいある……」
程度の状態で読みましたが、面白かったです。
戦争というのは、明確な獲得目標があって。
軍事行動は、それを達成するための、外交や経済と並ぶ手段の一つ。
別に、敵を皆殺しにするのが目的ではない。
戦って負けた相手に従うか、反発するかは感情だけど。
こういう接し方をすれば、こういう感情を持つはず。
というのは計算して、民衆を動かすことができるんですね。
一番のお気に入りキャラはガビアです。
同じ質問に対する、ハンニバルの答えの変化。
二度目の人生で、ハンニバル自身が変化する過程を追ってきているので、ぐっときます。
最後、とても幸せな気分になったので。
もし『ローマ人』再読したら、あの人もあの人も死んじゃった、と泣きたくなるかもしれません。
例えば人生をやり直せるとしたら、二度目は上手くいくのだろうか?
物語は主人公であるハンニバルがローマに敗れ、敗走の末に自決するところから始まる。
毒杯を呷り、永遠の闇に沈んだはずだった。
ところが、彼は目覚める。
父の枕元で打倒ローマを誓ったあの日に。
人は愚かで弱い生き物だと私は思う。
愚かであるからこそ夢をみることが出来るし、弱いからこそ知恵を付ける。
けれど、愚かだから間違える。弱いから気付いても糺せない。
人は、独りでは生きていけない。
だから手を取り合う仲間が必要だ。
信じられる朋が必要だ。
ハンニバルは二度目の人生をどう生きるのか。
ローマへの復讐は果たせるのか。
歴史小説は難しくて、という方も多いかもしれない。
歴史の教科書を読んでるみたい?
だけど、ここにあるのは退屈な過去ではない。
若い男の夢と、それを取り巻く魅力的な仲間たちの戦いの物語。
歴史上の人物も、オリジナルのキャラクターも、とても魅力的に描かれている。
私は歴史にはあまり詳しくないけれど、史実もフィクションもすうっと頭に入ってくるように構成されていて、とても楽しめた。
ハンニバルが辿った二度目の人生を。
そして辿り着いた彼の答えを。
あなたにも是非見届けていただきたい。
それからもうひとつ。
作者さまからこらーって言われたらこのコメントは削除するけれど。
私腐ってる、って自覚しているそこの貴女!
ちょーーーオススメだから!
読んでみて(笑)
ポエニ戦役で鳴らしたオレ達バルカ一門は、 冷や飯を食わされヒスパニアに押し込められた。しかし、イベリアでくすぶってるようなオレ達じゃあない。ローマを倒すためなら何でもやってのける命知らず。 不可能を可能にし、巨大なローマを粉砕する、オレ達、特攻野郎イベリア軍!
「オレはリーダー、ハンニバル。 奇襲戦法と包囲戦術の名人。オレのような天才策略家でなけりゃ、 百戦錬磨の強者(つわもの)どものリーダーはつとまらん」
「オレはオケイオン。自慢のルックスに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、海賊から重装歩兵まで、なんでもぶっ倒してみせるぜ」
「私はテウタ。チームの紅一点。海戦は美貌と度胸の良さで、お手のもの」
「よぉおまちどう! 俺様こそガビア、商人としての腕と策略は天下一品! 奇人? 変人? だからナニ?!」
「アルキメデス、発明の天才だ。ヒエロン王でもブン殴ってみせらあ。でも、図形を壊すのだけはカンベンな」
「オレ達は、世界最強のローマにあえて挑戦する、頼りになる神出鬼没の! 特攻野郎イベリア軍!!」
「ローマと戦いたい時は、いつでも言ってくれ!」
……と、こういうお話ではありません(笑)。
シリアスかつ重厚にハンニバルのローマへの再挑戦を描いていますので、歴史好きなら、ぜひご覧ください。