「打倒」とは、手に入れたいものは何なのか。

ローマに敗れ、逃れた異国で毒杯を煽って死んだ、カルタゴの名将ハンニバル。
しかし彼は、今わの際の父に打倒ローマを誓った若き日へと、時を遡っていた。
ハンニバルの二度目の戦いが始まる。

塩野七生『ローマ人の物語』のハンニバルは読んだ筈ですが、概ね忘れているので。
「何か、見た覚えのある人名がいっぱいある……」
程度の状態で読みましたが、面白かったです。

戦争というのは、明確な獲得目標があって。
軍事行動は、それを達成するための、外交や経済と並ぶ手段の一つ。
別に、敵を皆殺しにするのが目的ではない。
戦って負けた相手に従うか、反発するかは感情だけど。
こういう接し方をすれば、こういう感情を持つはず。
というのは計算して、民衆を動かすことができるんですね。
一番のお気に入りキャラはガビアです。

同じ質問に対する、ハンニバルの答えの変化。
二度目の人生で、ハンニバル自身が変化する過程を追ってきているので、ぐっときます。

最後、とても幸せな気分になったので。
もし『ローマ人』再読したら、あの人もあの人も死んじゃった、と泣きたくなるかもしれません。

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