幽霊を巡る大冒険、淡い初恋、よい王様――みんなに送る優しい物語

アラブ風の国に生まれたおてんばなお嬢様モナが幽霊騒動と王子様騒動を巡って都を駆け回る物語です。
児童文学のような雰囲気です。万人向けですが、特にローティーンの子供たちに読んでもらいたい、誰も傷つくことのない優しいお話です。親御さんも安心してお子さんに読ませられるかも!?
しかしストーリー構成は子供騙しではありません。事件が起こり、解決のために奔走し、大人たちの手を借りながら解決します。ショッキングな展開はなくても、ハラハラドキドキはできる。そんなことを教えてくれる物語です。
実はすべて誰かさんの手のひらの上の話のことだった!というびっくりのエンドにたどり着きますが、それはこの物語がアラビアンナイトだから。予想外だったのでとても驚きましたけど、こういう物語にはこういう立場のひとが必要ですよね。

アラビアンナイトと言えば、王子様の話はちょっと闇でしたか……。でも、西アジアの王家ってこういうことをするイメージがあるので、世界観をより補強するものだったりして。
モナちゃんたちはこの世界にあまり首を突っ込まず楽しく暮らしてもらいたいものですが――いえきっとアジーズ・ターヒル・カイスのトリオがどうにかしてくれるのでしょう。この物語のおとなは強く優しい。
大丈夫、大丈夫。みんなでいれば、怖くない!

できればシリーズ化してもらってモナちゃん・スフラブ・アリーのトリオが別の冒険をしたりすると嬉しいですね! ターヒルとの仲も気になる!
ちなみに私はアジーズが大好きです。