惑わす狭間
以前、私は1月21日生まれのため、星座だの干支だので悩ましい事態だと書いた。
しかし、ここにきてまたもやこの「狭間問題」が浮かび上がってきた。
私の出生時間と出生地の問題である。
紫微斗数という占いがある。
何だかすごく当たるという話は聞いていた。が、占い屋でも見かけたことはなかった。
ネットで検索してみたが、遠方だったり、結構高額で気軽に見てもらうようなものではないらしい雰囲気だったりで手が出せず、敷居高いな、と思ったまま忘れていた。
が、時ここに至って、手軽なサイトに気が付いてしまった。
ちょっと前にもカルチャーセンターで直感を磨いたりする時代に感心していたが、このサイトも結構前からあるようで、いろいろな占いやチャネリングや霊視が手軽に受けられる。
玉石混交ではあろうがとにかく豊富なメニューと、なによりその安さにまたもや時の流れをしみじみと感じ入ってしまった。メニューにもよるが、かつて1メニューに使った金額で20メニューはいけそうだ。
普及すれば安くなるのは、電化製品だけではないのだな…。
呆れるほど時代に取り残されすぎなのだが、まあ気付かなかったものはしょうがない。
そのサイトのメニューの中に紫微斗数を発見、私が最初に調べたときの相場と比較すると五分の一である。
もちろん申し込んでみた。紫微斗数の占い師のプロフィールを見ると本格的に研究されている方なのか、何種類かの流派(紫微斗数にあんなに流派があるのも初めて知ったが)を突き合わせて観てくれるようだ。
しかし、ここで問題が発覚する。
私の出生時間は午前11時14分。出生時間は出生地で時差を計算するそうで、私の出生地だと-14分になるそうだ。
そうすると11時ピッタリになる。が、11時というのは命盤の切り替わる時間だそうで、医者の記録の取り方によって命盤が前にズレる可能性が出てくる訳だ。
私の出生時間は昔見た母子手帳を記憶したものだが、病院側では勿論その後の占いの事などに配慮してくれる訳もない。
占いに使う出生時間というのは、生まれて最初に声を上げた時か、息を吸い込んだ時らしいのだが、しかし、結局のところ医者がいつのタイミングで時計を見たかなど分からない。
第一その時計だって絶対正確無比な時刻を差してるかなど分かるはずもなく。
その辺りの事情について調べてみると「出生時間はお医者さんが何時何分、と言ったらとにかくその時間を記録していた。時計が進んでいるのに気付いたとしても特に申し出ない」という話などもあった。
11時を境に前でとるか後で取るかで、占いの元となる命盤ががらっと変わるということで、いろいろ質問された。
その結果、11時で命盤は作られたのだが。
そういう経緯があった為の先入観かもしれないが、頂いた結果を読むと大きく違うと言わないものの違和感のある部分がある。
100%当たる占いはないというが、こうなるとやはり気になる。ひとつ前が気になってしまう。
そこで、検索して引っかかった紫微斗数の自動占いページで確認してみた。
内容は簡易な物だったが、しかし心当たりがある…。特に兄弟宮と疾厄宮の内容にすごく心当たりがある……。
今回調べていて気が付いたが、この11時で変わるというのは四柱推命でも同じようだ。過去四柱推命を見てもらったときはそのような指摘はされなかったが、もしかして私はズレた結果を今までを信じてきたのだろうか…。
年月日の狭間に長年惑ってきたが、まさかここにきて出生時間と出生地にまで惑わされるとは思わなかった。
結局、私はその占い師の方にお願いして、ひとつ前の分まで占ってもらう事にした。
もう決着付けないとモヤモヤして仕方ない。
生年月日を基にした占いを命占というそうだが、出生地や時間もデータに入れて占うとなると、もちろん精密度が高いというかよりピンポイントになるものなのだろう。
しかし、私のような者には向かないのではないだろうか。これから観てもらう度に、いちいちこの状況を説明し、料金形態によっては2倍の支払いの可能性もある。
実際今回、ひとつ前を観てもらうために再依頼ということで支払いが発生している。
不思議なものには興味津々だし、占いも好きで前後データの比較考察にはちょっとワクワクするものも感じるが、しかし費用が通常の2倍はやはり痛い。
まあ、ひとつ前の結果を貰って比較分析できれば、ここで一つの結論が出る。
結果が明らかに違っていたら、どちらかに決められるだろう。困るのは、この点はこっちが合っているが、この部分がこっちのがしっくりくるな…という場合だ。
そんな事態になると、占いに夢を失くす…までいうと大げさかもしれないが「まあ占いってこんなもんだよね」という、今まで薄々思っていてもちょっと脇に置いといた冷静さがやって来てしまうではないか。
インド占星術も試したかったな…。
しかし私のことだから、なんだかんだ言いながら半年後位に鑑定依頼していそうだが。
それにしても、私と同じくらいに生まれた人たちってどうしてるのだろうか。こんなことで悩んでいるのは私くらいなのだろうか。
「狭間に惑わさる会」とかあったら是非参加してみたい。
そして、これから紫微斗数とか四柱推命とかやってみたい方々。
出生時刻と出生地による時差には、お気を付けください。
ところでこの「極私的」な文章を書くきっかけになった第一話の神社だのことであるが、近況を耳にした。
私は夫と二人暮らしなのだが、その夫が百貨店に行ったとき、バレンタインイベントで「神様にお願いしよう」というコーナーができているのを見たというのだ。
第一話は「怪談実話コンテスト」応募用に書いたものなので、個人情報は極力書かないほうがいいよねとか思って家族構成は伏せたが、いやはや自意識過剰というか全く余計な心配だった。恥ずかしい。
だから、あの「憑いてますよ」と言われた夜、家にはもちろん夫もいた。
あの時何も知らずに眠る夫の安らかな様子に、羨ましくも妬ましく、反面、巻き添えにして申し訳ないごめんよとかとにかく何とも言えない複雑な感情が渦巻くわ、今この瞬間憑いてる人はどこにいるんだろうとか頭をよぎった瞬間、浮いてる様とか蹲った様とか想像したくもないのに頭をよぎりまくり、怖いわ眠れないわああ今思い出してもぐったりしてしまう。
いっそ夫に話して恐怖を分かち合ってもらいたかったが、夫は実はオカルトが大の苦手で、私のこの趣味は「理解はするが共感はせず。とにかく自分には何一つ見せるな。」というスタンスだった。
そうやってお互いの趣味志向を尊重しあって平和に暮らしていたのに、ここでそんなことを告白したら信頼関係が根底から崩壊することは火を見るよりも明らかだ。
勿論夫は今でも「憑いていた」ことは知らない。実はあの夜夫を覗き込んでいたかもなんて言える訳ない。墓場まで持っていく秘密だ。(だからこんな文章書いてることも秘密だ。)
そんな不思議モノに触れない夫が、何故そこを知っているかというと、その神社が偶然にも夫の出身地の近くにあり、さらに某オカルトライターさんの願掛け最強エピソードトークが巧みでとても面白かったので、「近くにこんなとこあったんだって。知ってた?」みたいなノリでその部分だけ見せたのだ。
夫は、結構興味を惹かれたらしくちゃんと覚えていて、帰ってくるなり私にイベントのことを教えてくれた。
バレンタインイベントで、特設コーナーが設けられるとは。
神様は益々霊験あらたかに、恋愛にご利益を発揮しておられるようだ。
神社についてはたまに思い出しては、後ろの遺跡に行かなければいいかな…とか思うのだが、やっぱり怖い。
私としては残念だが、仕方がない事だ。
極私的に用いる怪談。 史乃かや @re-ya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。極私的に用いる怪談。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます