善良さとジレンマ

人生というのは演劇のようなもので、特に大人になると、いくつもの仮面を被りながら賢く今を生き抜く術を求められます。
本作の主人公のように、周囲の期待にこたえることで、コミュニティ内で有利な立場(それはしばしば人望などという言葉であらわされる)を得ていたとしても、実際は何でも引き受けてくれる便利な人間と思われているだけかもしれないし、甘い顔をしているとつけあがってくる人間がいるかもしれない。
それに気づいて、何もかもが面倒になり、投げ出してサボってみたくなる気持ち、よくわかります。
が、それでもコミュニティに属するには、善良な人間を演じなければならない。そんなジレンマを描いている作品です。