がまんしていた男

　家族のために生きるということは、一方的なようでいて、その実知らないうちに相手から助けられていることでもあります。鋭い人なら、相手から伝わってくる感謝の念が、自分の心を満たしてくれることが分かりますが、感覚の鈍い人や、自分が上に立って大切にされるのでなかったら満足できない心の貧しい人には分かりません。そして、「がまんする」ということになり、いつか爆発します。
　私も感覚の鈍い人、心の貧しい人に入っていました。だからこそどうしても書きたかったのです。本当は人殺しも残酷描写も大っ嫌いで、ちょっとでも怖い場面があれば、映画でも本でも敬遠するので、こんな話は書きたくなかったし、人に読んでいただくのもどうかと思いました。残酷描写のところだけ、外そうかとも思いました。でもあそこが、YBがそのことに気づか…続きを読む