大韓武侠小説・飛腿将軍金老師義烈伝

連続射殺魔

その男、チョッチョーイ・チャー・チョークチャイ

それはあの金老師の指導の下での徒手格闘訓練の演習時の事だった。

我が韓国海兵隊の格闘訓練を憮然とした態度で観覧しに来ていたタイ国陸軍の武官が、

傲慢にもこのように言い放ったのだ。

「あなた方はそんなに派手な技ばかり練習していないで、もっとジャブや前蹴り、膝蹴りなどを練習すべきです。

それに、何ですか。そんなにピョンピョン跳ねていると、足払いを食らったら倒されて一貫の終わりですぞ」

それを聞いた偉大なる金老師はこのように反論した。 

「何を言うのです。あなた達ヘチャムクレの色黒タイ人にわからないでしょうが、

我々朝鮮人には、

その古風を失わざるをもって誇ると言う風潮があるのです。

第一、80歳になった時、ムエタイは武術に勝つ事ができましょうか。」

それを聞いたバンタム級ほどの大柄な、そして不逞なタイ陸軍の武官はこのように答えた。

「80歳にもなってケンカしようなんて考える方がよほど間違っていますぞ。

それとも、あなたの国は80のジジイになってなお、武力を必要とするほど治安が悪いのですか?一体、あなた方は何に怯えているのです?

ばーかばーか白丁。ホルホルホル」

「お前との話はここまでだ!」

瞬間、金老師の鮮やかな後ろ回し蹴りが傲慢なるタイ人の鼻先を掠めた。

別に外したわけではない。後ろ回し蹴りが、特に蹴り技の中では距離感を掴むのが難しく当てるのが至難の業だとか、キックボクシングでは相手をコーナーポストに追い詰めてからじゃないと使わないとか、そういう事を金老師が知らなかったわけではない。わざと外しただけのことだ。


次の瞬間、その大柄で重量級のバンタム級のタイ人の異常に凶暴な拳が金老師を襲った。

まず左のジャブ、そして右ストレート。

「やれやれ、何と野蛮な拳なのだ。優雅さの欠片もない」

金老師はこれを、テンポ良く顔面で受け止め、そしてかかと落としを見舞った。

これはタイ人はよけられなかったようだ。

別にかかと落としでのKO率が限りなく0%に近いとか、そういう理由で直接打撃になれたタイ人が敢えて避けなかったとは我々は考えていない。

その身長190cmはあろうかという大柄なタイ人は痩せ我慢なのか、顔色一つ変えず、無礼にも右のボディストレートから左フックを金老師に叩き付け、そして足払いをかましてきた!

金老師はすかさず腰を落とし伏せ蹴りの態勢をとり、そこにタイ人の野蛮極まりない膝蹴りが飛んできた。

金老師はこれも顔面で受け止め、真っ赤な鼻血を吹き出しながらキリモミ状態になって吹っ飛ぶふりをしながら後方へエスケープして距離を取った。

何とすごい体術だろう。中国雑技団でもこの芸当はできまい。

金老師なら体操の世界でも金メダルを狙える────


その身長250cm体重200kgはあろうというバンタム級の陸軍王者だったとかいう貧相な体格をしたタイ人は、さらに畳み掛けるようにして右ボディストレートから右テッ・カン・コー(ハイキック)を放ってきた。

だが、金老師は別にボディストレートからの顔面攻撃というキックボクシング界の常識にまるで対応できなくてまんまと二度も引っ掛かったわけでないので、待ってましたとばかりにこれも顔面で受け止め、余裕を見せつけた。


そして、獅子の様に顔面を真っ赤な血で染め上げた金老師はこのように言い放ったのだ!

「私はもう、お前の顔など見たくない!」

厚さ1cmの杉板を木目に沿って叩き割る必殺の空中二段蹴りが相手の間抜けな胸板に決まったのだ!


厚さ1cmの杉板だ!

なんだって?10cm厚の戦車の装甲板だったらどうだってんだ?見ない!見ない!


そのタイ陸軍の武官は切なさそうな目をして、去っていった。

「我が国万歳!」

「大韓テコンドーは最強なり!」

それ以来、そのタイ人が金老師の前に現れる事はなかったという。




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大韓武侠小説・飛腿将軍金老師義烈伝 連続射殺魔 @hanage335

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