第26話 かませ犬と千載一遇のチャンス

結論から言うと死闘などなかった。

ヘルハウンドとの死闘や、各種ゴーレムとの戦いでレベルアップしてきた僕らの前にはオーガはあっけなく沈んだ。

カレーが一撃で怯ませ、そこにみんなの渾身の一撃を叩き込んだだけで終わってしまった。


今までの強敵との戦いを思うと、非常に拍子抜けをするとともに初心者と思っていた新人ギルドメンバーと、自分の成長を感じることができた。


カレー「いやー、あっけなかったねー。」

僕「ッチ。」

カレー「何で今舌打ちしたの?!」

ムラマサ「以外と弱かったね^^」

友人「多分、みんなが強くなったんだよ!すごいよ!!」

カレー「ただ、オーガ倒した後こんなの拾ったんですよね。」


”魔族指示書”


そう書かれたアイテムをカレー君は示した。

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魔族指示書とは、魔物を操る魔族の上層部より特定の日にちと時間にそのエリアでは考えられない

上位種の魔物を呼び出して人間どもを襲わせるという恐ろしい内容が書かれた指示書だ。

これを事前に魔物から回収をすることに成功すると、そのエリアのメンバーに対して警報を発令できると共に

それに対して備えをすることで大規模戦闘レイドを行うこともできる。


十分な備えをせずに上位種のモンスターにあたることは非常にリスクが大きく、勝てる公算も見込まれない。

通常は退避の為の情報となるのだが・・・。

ここの指示書に書かれている出現モンスターが悪かった。

黒呪文術師ブラックウィザード

まさに今、僕が覚えようとしている新魔法の重要素材を落とすレアモンスターだった。


僕「予定を変更して申し訳ないけど、こいつを倒したい。」

カレー「えーーっ!?俺らだけじゃ絶対無理ですよ?」

ムラマサ「そうだよね・・・。流石にフィールドボスなんて、4人で勝てる相手じゃないもんね。」

友人「カレー君、蘇生は任せて!^^」

カレー「いや、俺の頑張りではどうにもならないと思いますよ!?」

僕「みんなの言う通りだし、流石にこのメンバーだけでは無理だと思うからギルドの他の皆んなにもお願いしてみるよ!」


そしてギルドチャットで、その時アクティブにしていたメンバーをお願いして呼び集めた。


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▲当方の戦力

団長まほうつかい:氷魔法を中心に各種魔法を使う

スパイスさん:今回はガチ弓使いモード

カレー:駆け出し近接騎士、双剣を使い小回りの効く戦い方

ムラマサさん:魔法と剣を使って相手の注意を引き、カウンターを狙っていくスタイル

友人:ヒーラー兼、蘇生役。パーティーの後衛の生命線。

僕:炎の魔法使い。ただ、魔法はお金がかかる為、普段の雑魚相手には両手剣を使う。

助っ人1:スパイスさんの知り合い、近接特化型戦士

助っ人2:スパイスさんの知り合い、魔法戦士。ムラマサさんのスタイルの上位互換。


▲相手の戦力

黒呪文術師ブラックウィザード:かつては人間の魔法使いであった者が、魔術の探求の過程で魔族に魂を差し出し、魔物と化した姿。全てを投げ出した代わりに強靭な生命力と、莫大な魔法力を手にいれた魔道士の一つの終着点。


ウィスプ:魔族の召喚する魔法力の塊。召喚者の意のままに操ることができ、同時に操作できる数で魔法使いのレベルが変わってくる。黒呪文術師ブラックウィザードクラスになると同時に10体以上使役する。

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頭数的には敵戦力の方が多いが、ウィスプ単体は大した強さではない。

それを踏まえれば十分に勝負ができる戦力が短期間に揃った。

今この時を逃せば、いつまた倒す機会に恵まれるかわからない。


今、千載一遇のこの機会に僕はその手のワンドを強く握りしめた。

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あるネットゲームで少女と出会った話 kumogakure @kumogakure2017

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