第25話 太陽の分身を求めて

弓使いが見つかったので、後顧の憂いはない。

後は太陽の矢を入手し、憎むべき黒騎士を仕留める準備をするだけだ。別に僕の恨みじゃないけどね。


太陽の矢を入手する為に、まずは鍛治の盛んな"鉱山の谷"に行き最高級の矢を手に入れる必要がある。

早速、馬に乗り鉱山を目指す。

この鉱山に行くのはこの時が初めてだった。

ギルドの拠点のはじまりの村より、道中に狼の群れに襲われたりしつつ森を抜け、

まずは普段買い物をする”街”へとたどり着く。


そこで包帯やポーションなどを購入し、旅支度を整える。

そして、”街”を抜けると大きな丘がある。

この丘には狼の亜種であるダイアウルフと、オーガが幅を利かせている。

オーガとは体躯はゴーレム並みの巨体で、その手には大ぶりな棍棒を持つ亜人のモンスターだ。


知能レベルこそ高くないが、強大な力と武器を組み合わせて使う点で非常に厄介だ。

しかし、基本ダンジョンの狭い範囲内で戦わなければいけないゴーレムとは違い、

広いフィールドで戦うことができるので対処方法は幅広い。

敵の射程に入らず魔法で完封してもいいし、障害物を利用し近接武器でのヒットアンドアウェイもできる。

僕たち旅の一行は、初めてまみえるこのオーガを行きがけの駄賃に倒すことにした。


オーガ自体のドロップアイテムにはそこまでの価値はないが、オーガの落とす革には需要がある。

特にこれから向かう鍛治の谷では、修練の為に大量の革を消費する職人でひしめき合っている。

革を手土産に持っていけば、目当ての最高級矢の入手も円滑に進むというものだ。


僕「というわけで、作戦だけどね。」

カレー「はいっ!」

ムラマサ「わくわくするねっ!」

友人「ヒールしますねっ!」


僕「まずカレーが突撃して注意を引きつけます。」

カレー「ちょ、ちょっと。」

ムラマサ「それでそれで?^^」

友人「ヒールしますねっ!」


僕「そして何とかオーガの攻撃を掻い潜り、カレーが一撃オーガに浴びせて怯んだ所で、僕の魔法とムラマサさんの攻撃で追い討ちをかけて仕留めます。」

カレー「俺、生きて帰れるのかな・・・。」

友人「蘇生は任せてっ!」

カレー「それ、俺死んでるよね!?」

ムラマサ「惜しい人を亡くしたねっ!」

カレー「まだ間に合うからねー、生きてるからねー?」


僕「まぁ大丈夫だよ、いくら一撃が強くても動きは遅いしカレーの双剣なら先手を取れるから。」

僕「一撃浴びせたら後は任せてくれ。(キリッ」

カレー「そもそもなんで俺なんすか・・・。」

僕「だって僕も友人も魔法使いだし、ムラマサさんはムラマサさんだし。」

ムラマサ「ごめんね!防御力ないんだ!その代わり可愛い服でしょ?」

カレー「僕さん、俺より良い鎧持ってるの知ってるけど?^^;」

僕「さぁ、時間はないぞ勇者カレーよ。」


そして、オーガとの死闘が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る