第24話 見つかったアーチャー
剣と魔法のファンタジーであるところのこのゲームで弓使いの人口は多くはない。
多くはないが、弓使いが弱いということではない。
むしろ弓使いを選んでプレイしている人はプレイヤースキルの高い人が多い。
弓使いがなぜスキルが高いかといえば、弓は必ず当たるとは限らないスキルだからだ。
うまく立ち回り、適切なタイミングで使うことをしないと矢が大量に無駄になる。
必然的に弓使いで居続けるということは効率的なプレイができるかお金持ちに限られる。
始まりの村に戻った。
ギルドメンバーの集会所に行き雑談に興じる。
スパイスさん「メインクエスト順調に進んでるみたいだねー。」
僕「今のところはいい感じです!ただ弓使いの方の助けが必要なんですよね。」
カレー「仮面さん確か、弓使ってませんでしたっけ。」
仮面「俺のはクロスボウだからな、いわゆる長弓とは種類が違うんだ。」
僕「それに仮面さんのメインの武器は斧ですもんね^^、似合ってますよ^^」
仮面「ありがとう^^、夜道に気をつけろよ^^」
僕「ひっー!」
仮面「でも、スパイスさん長弓扱えるでしょ?」
スパイスさん「あ、ばらしちゃった。」
僕、カレー「詳しく。」
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スパイスさんは僕らと一緒にダンジョンを周る時、短刀と盾を使いスタイリッシュに戦っている。
ゲーム内のキャリアではギルドで一番長い割には、殲滅力が低めだ。
しかし、一人でダンジョンを周っておられる事もあり秘密があるのは知っていたが
実は弓使いだったとは。。。
まぁよく考えれば短刀と盾って思いっきり弓使いのサブ装備だ。なぜ気づかなかったし。
スパイスさんは「ふふふ、バレてはしかたない。^^」とか言いつつ、今からダンジョンで
その弓の腕を見せてくれるらしい。
ダンジョンとはいっても、敵の出る場所ではなく対人戦のできる闘技場ダンジョンだ。
そこに移動した僕、カレー、仮面、スパイスさん。
スパイスさんの弓の腕を知るために、三人は近接戦闘用の武器を手に持つ。
スパイスさんは長弓の中でも一番射程範囲の長い、レザーロングボウを構え合図を送る。
スパイスさん「いつでもいいよー!かかってこぉーい!^^」
仮面「いくぞぉぉぉ野郎どもぉぉぉぉおおおお!」
僕、カレー「おおぉぉぉおおおおお!」
弓使いは魔法使いと違い、魔法を溜める隙がない。その分、複数の敵とタイミングをずらして同時に対処することができる。しかし、できることと実現できることは別の話だ。
使う武器の性能やスキルのランク、立ち回りによって同時対処人数は変わる。
初級の弓使いで1人、中級者になれば2~3人を対処することができる。
仮面さんが真正面から突撃し、僕が右、カレーが左から回り込み進んでいく。
普段お世話になっているスパイスさんだが、それとこれは関係ない。
今後のメインクエストで自分達の生命線になる部分を任せる弓使いの腕を見るためだ。
全力で向かわなくては実力がわからないし、そもそも失礼になる。
こちらは魔法こそ使わないが持てる限りの力とスキルを使用する。
そしてその様子を見て、スパイスさんの口角が上がった。
スパイスさん「ふふふ、それは一流の弓使いには悪手だね。」
スパイスさんはまず、真正面から向かってきている仮面さんに対して弓の強撃を繰り出し、見事に吹き飛ぶ仮面さん。惜しい人をなくした。
そして、その直後に連射スキルを利用しカレーと僕に交互に一発ずつ矢を当て、体制が崩れている間にもう1人に攻撃することを繰り返し、一歩も先に進めなくなった。
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終わってみればスパイスさんの完勝だった。
スキルも然ることながら、スパイスさんの弓は範囲特化改造が解かされており、射程が恐ろしく長い。
その広い射程を活かして敵が複数で襲ってきたときには距離を取り、近づいてくる時間を稼いで処理をしていくことが可能となる。
スパイスさん「これで私の実力はわかったかな^^」
僕「ええ・・・鬼のようでした。」
カレー「弓ってあんなに強いんですね。」
スパイスさん「でも剣と違って、弓の耐久だけじゃなくて矢も一本一本買うからお金がかかるんだよねー。ましてや、強い敵と戦うとき用の矢は鍛冶師さんの作った矢とかも必要だしねー。」
僕「ちなみにさっきの戦いの時の矢は、普通の矢だったんですか?」
スパイスさん「ううん?一番強いやつだよ?」
僕「 使 い 所 。」
スパイスさん「奮発しちゃったテヘ☆」
いつだって先輩たちは自分のことを凄いと思って欲しいものらしい。^^;
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