性別を越えて、その人を恋し愛するということ。

小学校からの幼馴染みのハイスペックイケメン二人。
気心が知れた者同士、いつものカクテルバーで静かに穏やかに過ごすのは、何ものにも変え難い、そして他の誰かとでは得難い、かけがえのないひとときだ。

そう。
自分の隣にいるのは、彼でなければならないのだ──

自分の内に積もるそんな思いに気づいた彼らが愛の形に悩み、お互いのスタンスの違いに悩み、未来に悩みながら心を通わせていく物語。
性別を越えて恋愛するということの深さと難しさを、作者様はその豊かで繊細な感性で描こうとされておられるのが伝わってきます。

自分の感情に正直で、ストレートで、直感的に行動ができるスポーツマンタイプの吉野。
一方、冷静沈着で物腰柔らか。けれども自分の心の内にはなかなか人を踏み込ませないインテリタイプの岡崎。
正反対な二人が時にぶつかり、すれ違い、それでもお互いを思いやり求めていく姿に、読者はじれじれしたり、ほっこりしたり、キャッと照れたりとすっかり魅了されてしまいます。
吉野の元カノ・リナの登場で彼らの感情はさらに掻き回されますが、その三人のやり取りも回を追うごとに味わい深いものになっていきます。

BLという言葉で簡単に片付けられない 、“人を愛するということ” をテーマにした珠玉の恋愛小説です。

その他のおすすめレビュー

侘助ヒマリさんの他のおすすめレビュー480