第11話

私たちは雲なんだ。

人の心に残らない雲なんだ。神様にすら気づいてもらえない私たちだけど、神様が見ていなくたって私たちだけでのりこえることもできるんだ、という想いに至った自分に少し驚いた。


何かを諦めていた私と彼女が、持ち寄るものはないのだけれど。なくしたものはもう戻ってこないのかもしれない。だからって新しく何かを作れないわけじゃないんだ。


何もなかった私たちに想いが芽生えはじめた。ちっぽけな二つの雲が離れはしないとお互いの体に青い糸を結びつけて。


初めてできた目的に、なにか一歩踏み出さねば前に進まないという想いが私たちをつき動かした。


彼女には明日河原に来るようにと言い、別れた。



私が河原に着くと彼女はもう来ていた。私もまあまあ早く来た方なんだけどなと思いつつも、彼女と画材を買いに出かけた。


幸いなことにこの近くにはホームセンターがあるので絵を描く板を買うのは大丈夫だと思う。それを運ぶ労力には目をつむろう。

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ゆらめく雲の中で ふもふも @humohumo3

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