万年筆狂イ指南

作者 紫喜 圭

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★★★ Excellent!!!

私も万年筆を一本だけ持っています。
営業の仕事に就いたとき、「安いボールペンだと格好がつかないな」と思ったのがきっかけで、万年筆に詳しい友人に相談をして購入しました。
WATERMANのカレン。流線型がとても綺麗な万年筆です。

買ったばかりの頃は意味もなく文字を書きたくなり、インクの補充をしたいがために早くインクが減らないかな、なんて思ったりもしました。
不思議なもので、身に付けるだけで仕事に張りが出たような気さえしました。

作者さまがエッセイのなかでこう語っています。

『万年筆を出し入れする所作に始まり、動作が一つ一つ洗練されていった。万年筆は見事、荒々しい高校男子を矯正したのだ。』

何か一つ、大切なものを持ち歩くことで、日々の所作さえも変わっていく。

仕事が忙しくなるにつれ、いつからか忘れてしまっていました。
数年ぶりに、大事な相棒を机の奥から起こしてこようと思います。

★★★ Excellent!!!

 私も『LAMY アルスター 極細』を愛用しとります。どうしてもボールペンでは不適合な書類が仕事上でありまして、その書類用に使っております。

 紙の質によっては、裏抜け・髭は当たり前にありますが、それもまた味わいとも取れます。わざわざ紙を用意して、それに書類のテンプレートを印刷して使うほど。

 こちらの随筆は、過不足なくちょうど良い情報量で語って下さいます。万年筆の沼に入り込むキッカケにするには、まさしうってつけかと。

 今は100均でも販売しているくらい身近な万年筆、お試しで手にとってみても損ではないかと。是非是非。

★★★ Excellent!!!

 万年筆。それは作家を少しでも目指した人ならば、憧れの文房具である。しかし、学生や収入の少ない人にとっては高嶺の花。今は子供向けに小さな万年筆も売られていて、万年筆のマネが出来るとして、発売当初は売れ行き好調だった。 
 小生は大学時代に、老舗の文房具店でアルバイトをしていた。万年筆はレジカウンターの鍵付きのガラスケースに並んでいた。小生も万年筆には憧れていたが、その値段に愕然としていた。そんな中、何と、一本五万もする万年筆が一本売れた。驚いた。どんな人が買うのかと思えば、きっとこの作品の作者様のような方が買うのだろうと思った。
 万年筆は作中にあるように一般の人にとって管理や手入れが難しい。しかしそんなことも苦も無く行える作者様のように、万年筆愛にあふれた方ならば納得です。皆様もお気に入りの執筆道具をお持ちのはず。
 この作品に触れて、もう一度自分の執筆作業を振り返るのもいいかもしれません。是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

PC・スマホ時代になって、めっきり文房具にこだわる人も減った中、その雅なこだわりが実によく味わえる一編である。

単純によく知らない万年筆の世界について知識を深められることもさることながら、万年筆へのあふれる愛情を、まさに万年筆で書いたように端正かつつややかに綴られた文章の感じが、読んでいて実に気持ちいい。
まさにエッセイとはこういうものだ、と思わされる。

「メンテナンスを文章で語る意義は薄い。動画を参照するのが一番である」と言うほど、基本的には「機能的」な部分の紹介に終始しているはずなのに、その独特な味わい深さは、さながらよくできた紀行文を読んでいるかのよう。
「ペン先は深淵な万年筆の世界でも特に奥が深い。とにかく金でできた万年筆が持つ夢のような書き心地を堪能することなしに死んでしまうのは勿体ない」と言われれば、なるほどそういうものかと思わされる。

万年筆を持つだけでこういう気品をまとえるのなら安いものなのだが……。
もっとも、その「万年筆を持つ」ことが一筋縄で行かぬことを教えてくれるのも本作なのである。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=村上裕一)

★★★ Excellent!!!

万年筆への情熱がありありと感じられる随筆集。そしてもしも一本でも自分の万年筆を持ったことのある人だったらそれはわかるはずだ。万年筆ばかりは他の筆記具とは違う、特別な文房具なのだ。
長年一本を使っているために、他の万年筆の使い心地などとんと知らぬが、読むだけで楽しい。更新が楽しみ。