苦しみの果てに吹く風が、君の始まりを告げる

何か決定的なきっかけがあったわけではない。
ただ、普通にできるはずのことができなくなった。
人と同じように生きることができなくなったまま、
苦しみを抱え込む日々が積み重なった、2年。

疲れ果てて実家にたどり着いた「私」の前に、アリスは現れる。
「私」の憧れるもう一人の「私」、アリスは今日もキラキラと、
無視を決め込む「私」に対話を求め、「私」の苦しみを紐解く。

もがいている。足掻いている。
それを人にはうまく言えず。
自分のプライドに邪魔をされて。

吹き荒れる風を見付け、風に乗るまで。
「私」の抱え続けた苦悩の軌跡に触れ、
痛みと共感と眩しさを覚え、苦しくなる。

めちゃくちゃに傷付いた翼で、さあ飛んでいけ!
読後、そう願った。