人付き合い

ガラガラ玉が回る音に、その台の効果音が重なり合ってより激しい音を店内に繰り出していた。


負ければ悔しい、勝てば今晩の飯が少しだけ豪華になる。ぐるぐると回るパチンコの日。


友人と遊んだ帰りにもうちょっと遊びによる感覚でドアが開けば五月蠅い店内に迎えられる。


滅多に来ないのでどの機種がいいなんてわからないから勘で決めては台に着く。今日は創業祭だそうで日との出入りが多い日だった。

まぁ、結論から言おう。負けた。三千円。


祭はパチンコでの決め事がある。三千円で掛からなければ終わり。それ以上は深入りしないこと。


なので早々と負けた祭は休憩所に入っては携帯を弄りながら友人が来るのを待つ。


あまりに時間が遅くなるようであればさっさと祭は先に帰ってしまう。


門限はないが、らしきもの、なら実家暮らしの祭りにはあった。


なんとなくこの時間には家に居た方がいいよな、この時間には電話が掛かってくるだろう、と考えて自分なりの門限があった。


大体は友人が遅くなり先に帰るのが今までのパターンだ。

いつも遅い友人には無事に帰ってくれと願うばかりだ。


祭と違い友人はパチンコが好きな人間だった。祭は程々にならという人間なのでそこまでのめり込むこともなかった。


友人は一万負けるなども割りとあるらしい。と祭はそこまで友人の金事情に詳しくないというより逐一知っている方が異例だと思うとひとり考える。



さぁそろそろ時間だと立ち上がり帰りの準備をしてメールの用意。今日の感謝に先に帰ることの謝罪と気をつけて帰ってのひとことを添えてメールを友人に送信して友人の元へいきメールに気づかせてからさよならして帰る。


五月蠅い店内では言葉が上手く伝わらないこともあるのでメールで一応の挨拶をして、友人に珈琲を手渡し手を振って騒がしい店内におさらばだ。


勝てば楽しい、人とのお付きあいだ。

……というよりカラオケしか遊ぶとこがないのが悪いのだ。ゲーセンは潰れ我ら自転車組には遊ぶとこが無さすぎる。


ということで


「今日の一日はお仕舞いまい」

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短編集 迷子 七瀬 @maigo_nanase

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