The Queen Is Dead
飛騨群青
ある女王の死
僕の同級生には女王がいた。それは皮肉でも悪口でもなく、空虚な称号でもなく、真に彼女を表す言葉だった。
彼女の外見に魅かれるのは初対面の人間だけだ。しっとりと輝く黒髪、釣り目がちな目、綺麗な鼻筋、上品で桃色の唇、凛とした声、それらは彼女の素晴らしさの一部に過ぎない。彼女の挙措には見苦しいところも、気取ったところもなかった。どんな人にも敬意をもって接し、彼女に話しかけられた人間は無意識のうちに背筋を伸ばし、まるで部下になったかのように返事をしてしまう。まさに女王だ。
彼女は薔薇のように美しかった。だが花の命は短い。
ある朝、登校する生徒達の中に彼女の姿があった。歩いているだけなのに、周囲の人間は彼女に魅了され、彼女から目が離せなかった。だから全員が見た。
彼女が派手にスッ転び、犬の糞へとダイビングするところを。
彼女は優雅に立ち上がった。だが顔中がクソまみれになった彼女は、もう女王ではなかった。
The Queen Is Dead 飛騨群青 @Uzumaki_Panda
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