人生とはかくもーー

男がいる。
どこにでもいそうな男である。彼は異世界へ旅立ちもしないし、ケモ耳彼女ができるわけでもない。不条理な異世界よりもさらに過酷な現実世界に途方にくれている男だ。

わたしは以前この物語りにレビューを書いたのだが、それは早計であった。物語りは可愛くないこまっしゃくれた子ども時代で終わるのではなかった。男の物語りはその後も続く。
子ども時代でENDマークが打てるのならば、物語りはずっと輝かしいかもしれない。しかし一度ひいた人生の籤を捨てる事は叶わない。
誰しもが己の道のただ中で彷徨い進んでいくしかないのだ。例えそれが破滅への道だとしても、転生などというご都合主義はここにはない。あるのは重く苦しい現実だ。