第1話 誰だお前

オッス!オラ功刃将夜!!中学三年生の冬に突然パッパが進学する高校決めちゃって、ぶっちゃけ「何してんだコイツ」って思ったけど私の脳ミソは超絶天才頭脳明晰だから余裕で合格しちゃった。てへぺろ。まあフツーの高校なんだけどねっ!とりあえず今日から高校生みたいだから入学式に行くよ!


ー$


「はぁー、春って言っても全然暖かくねぇ...」


俺は寒いのが苦手だ。おそらく今日は一般人からしたら寒くない程度の気温だと思うが結構堪える。テンションを上げていかないと家に帰りたくなりそうになる。早く夏になればいいのに。

俺が今年から通う高校「西河高校」は家から徒歩10分ほどの所に位置している。偏差値、部活動共に至って普通の高校である。まあ、それが理由で父さんが決めたらしいんだけど。


「うー、さぶっ」


しばらくすると高校が見えてきた。見た目も至って普通であり、古くも新しくも綺麗でも汚くもない。逆に何でこんなに普通なのさ。

将夜はとりあえず自分のクラスを確認した。一年生のクラスはA組からF組までの6クラスが用意されている。特別、成績順だったりはしないがクラスの偏差値にバラツキが出ないようにはなっている。


「おっ、F組かー。別に特別な意味は無いのは分かっててもなんか嫌だな。」


自分のクラスに向かうとするが建物は4階建てで上から一年生だから4階まで登るのか。なんというか、だるい。しかもF組だからきっと廊下の奥だろう。

将夜は軽く憂鬱になった。だが決まったものは仕方ないと思いつつ教室に到着。入って自分の席についた。教室内には既に何人かが新しく出来たであろう友達と楽しそうに談笑している。

入学したばかりだし、友達作るの大事だよなぁ、と思いながら周りを見渡す。とりあえず出席番号近いヤツと友達になればいっか。

それからしばらくしてクラスメイトが集まり担任の教師も来たところで最初のHRが始まった。教師も普通そうだ。教師の祝福の言葉、生活を行うに当たる注意事項、等の軽い話が終わった所で入学式の時間が来た。体育館、寒いだろうなぁ...

新入生起立、在校生起立、在校生祝福の言葉、新入生抱負、校長先生による瞼が重くなるありがたいお話。入学式は何事も無く進んだ。ふと、将夜があたりを見回すと


「うわぁ、すっげ。金髪というかなんというか」


将夜は同じ新入生の中に髪色のおかしい生徒を見つけた。髪の黄色い女子生徒だった。場所的に隣のクラスだろうか。


「....っ!」


将夜は咄嗟に視線を外す。例の女子生徒がコチラをちらっと見る。

ガン見してたのバレてないよね?なーんか普通の高校かと思ってたけどちゃんと(?)普通じゃない生徒もいるんだなぁ。というかアレが地毛だったらとんでもない。きっと新種のDNAだと思うしかない。平穏な学園ライフをおくるためには関わらない方が吉だな。なんか少し浮いてるし...っ?!


将夜は目をこすった。


「...気のせいか。」


将夜には一瞬女子生徒が本当に浮いているように見えた。本当に浮いていたらとんでもない事だが。

そんなことがあったが、無事入学式は終了。そして何故か新入生は会場の椅子をしまったりシートを丸めたりなど後片付けをされるように命令された。


「おーう将夜!校長先生の話、すっごく眠かったな!」


「そうだな、てかこれ本当に俺たちが片付けんの??」


「らしいなー。」


声をかけてきたのはさっき仲良くなった俺の前の席に座ってたやつ。名前は小林芳樹。趣味が同じで見事に意気投合したのはHR後。


「てかさー、見た?金髪の女の子。」


「あー、見たよ。金というより黄色が近いよな。」


「そうそう、なかなか可愛かったよなぁ。」


「いやー、アレには関わらない方が....」


「アレってなによ」


「「うわっ!!」」


突然後ろから声が聞こえた。


「お前、黄色い女....!!!」


将夜の口から思わず初対面でこんなこと言ったら嫌われるだろうセリフが。


「黄色い女ってなによ!私だって好きでこの髪色じゃないのよ!地毛よ地毛!!」


「お、おう。悪かった。で、お前誰だ。」


「私の名前は雷電 蛍。よろしくねー。」


突然芳樹が


「よろしくよろしく!!可愛い名前だね?僕は小林芳樹。よろしくね、蛍ちゃん!」


「は、はぁ...」


小林は雷電に気があるのかやけに積極的だ。雷電のヤツ引いてるなあ。顔が引きつってるぞ。とりあえず言うことは


「あはは、お前ら相性良さそうだな。」


「何が相性良さそうよ!アンタの目は節穴?!」


「えー、冷たいよ蛍ちゅわあーん。」


「うっわ。今のは流石に引くぞ、芳樹。」


「うんごめん。ちょっと調子乗りすぎた」


「もう全く!私はコイツに話があるの!」


と、指をさされる俺


「指さすなよ....で、なんで俺」


「功刃将夜!放課後屋上に来なさい!!」


あまりにも声が大きかったのか周りの人も少しザワつく


「〜っっ!!と、とにかく絶対に来なさいよ!!良いわね?!」


と、言って大股歩きでどこかに行ってしまった。


「将夜ちゃーん、イベント発生だねー。いいなーうらやましーなー。」


「芳樹お前絶対からかってんだろ。」


「いやーん、そんなことないよー?」


「ていうかさ芳樹」


「なんだい、将夜」


「アイツに俺の名前教えた?」


「アイツって蛍ちゃん?蛍ちゃんの事だとしたら教えてないけど?」


「そっか」


「どうしたよ?」


「いや、何でもない」


「ふーん」


自分の中の危険探知センサーの反応が最大値まで上がりそうな、将夜は何かを感じ取っていた。

なんだ、雷電って言ったか。アイツはヤバイ、何かがおかしい。これは経験則でしかないけどどことなく違和感を感じる、それにしても


「...なんでアイツ俺の名前知ってたんだ。」


とりあえず放課後屋上に行った方が良いのは間違いないみたいだ。

そして放課後...


「来たわね!功刃将夜!!」


「...お前がな。」


放課後屋上に来たというのに蛍が来なくて30分ほど将夜は待たされた。


「悪かったわよ、待たせたわね。」


「分かればいいんだよ分かれば。」


「むー、なんか腹立つ言い方ねー。」


蛍は不機嫌そうだ。


「まあ、とりあえずさ」









「死んでくれない?」

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愉快な暗殺者たち @S_k

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