第2話 刃物少女
はぁー…やっと学校終わったー。門の前で伸びをする。やっぱ優等生のフリはキツイな。でもこうでもしなくちゃ馴染めないからなぁ。いけない、まだ生徒がいる。もう少しの我慢だ。
私は今日この日を半年前から楽しみにしていたのだ。私を阻む敵はいない。そう信じる。足どり軽く本屋へ向かう私。
そう、今日は大好きなアニメのコミカライズ発売日。それを逃すわけにはいかない。ましてや初回限定盤を買わずにはいられない。今朝思わず本屋を通りがかった時に先着100名様だった。急がなければ。路地裏へ入り走り出す。仕事上この地形は全て把握しているはずだ。この今一瞬も買われているかと思うと気持ちが焦る。
この街は少し古くて趣のある煉瓦造りの建物が並んでいる。その一角を抜けると本屋がある。私行きつけの本屋だ。もう少し、もう少し…
「バンッ」
??
何が起こった?
もうこういう時にまたかよ。
「姉ちゃんどうしてくれんだ?このシャツ高かったんだよ。」
ッチ
いつものことだこんな格好をしているとなめられる。
私の前にはいかつい男性5人が立ちはだかっていた。ありがちなカツアゲというところだ。どうしてこうも弱そうな女ばかり狙うのか。
訳がわからないや。
「私は今すぐ行かなければならないところがあるので離してもらえませんか。」
私が言うと、襟元を掴んでいた男が睨んできた。
あぁ面倒臭い。こいつらは面倒臭い。
「何生意気言ってんだこの女は。」
ボスらしい男が言うと。
横の男が金出せよと脅してきた。この道は路地裏だ。やっぱり助けを呼んだ方が早いか、私がやった方がいいのか…
「なにボケっとしてんだ、金出せよ。」
「嫌です。」
はっきり断ると。短気な奴らだ。
ドンッ!
痛ったー。
わたしを押した。尻餅をつきお尻をさする私に一人が刃物を向けた。
あぁ、なんだわたしとやり合いたいのかそれならそう言ってくれればいいのに。
「その刃物どうするんですかぁ?」
私は挑発するように言った。こういう時は正当防衛とした方が後々楽だから。
「なんだと。この娘。」
やっぱり乗ってきた、単純だなぁ。
「暴れると殺すぞ。今すぐ金を出せ。」
私が暴れるフリをすると頬に傷をつけてきた。
これでオッケー。
思わず笑いが漏れてしまった。
私はカーディガンの下からナイフを出し、ゆっくりと微笑んだ。
舞~華麗なる刃物少女~ @aka1523_konoha
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