ホワイトデー×手紙

 3年生の卒業式も終わり、もうすぐ春休みに入る頃でした。私はその日が近づいてくることが楽しみなようで怖いようで待ち遠しいようで来て欲しくなくて、兎にも角にも複雑な気持ちを抑えきれませんでした。


 私は約1か月前、彼にチョコを渡しました。ただのチョコではなく手作りチョコレートです。きっと意図には気が付いていると……そう思いたいです。私が誰彼構わずチョコレートをあげているとは彼は思わないでしょうし、流石に渡し間違えたと勘違いするはずもありません。


 私にしてはまともに、彼の顔を見てチョコレートを渡すことができました。ただ、渡した後に逃げないはずもなく、彼にチョコレートを押し付けるだけ押し付けて逃げたことは部長にも言っていません。その部長はもう居ません。部長と呼んでいましたが、文化祭を終えてからは元部長で卒業式を終えてからは学校に来ることもなくなりました。そういえば映画部長と彼が歩いているのもバレンタインデーを境になくなり、私を一安心させました。


 そんな私は彼がホワイトデーのお返しをしてくれることを信じて手紙を書くことにしました。全く面白くも何ともないのに笑みがこぼれてしまうのは彼のことが好きだからなのでしょうか。初恋は実らないとよく聞きますが、恋する私の前にはそのような障害はあってないようなものなのではないでしょうか。こんな強気になれるのも彼がいるからなのでしょうか。



 ホワイトデーのお返しを渡したら、その場で手紙を渡され、彼は驚く。


 そんな光景を思い浮かべ、私は書く。



 きっと、その手紙を読み、彼の笑顔が花咲くことを信じて……。

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文学少女の恋文 坂本ゆうき @kyomm3565

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