記憶喪失というテーマを用いて、「幸せ」と言う定義に対して問いかけてくる作品です。
記憶喪失ものと言えば、最後に記憶が戻ってハッピーエンド。しかし、よく考えれば「それまでの人格の存在意義は何だったのか」という事実に直面します。この作品はそこをよくとらえています。
家族は当然元の生活に、元に戻って欲しいと願います。
しかしそれはプレッシャーとなって、知らず知らずのうちに負担をかけていて嘔吐と言う形で表出しています。
この際食べていた料理は記憶を失う前に好きだったもの=家族が過去の彼女を押し付けているというメタファーとも取れます。
そして、家族のとった道は……果たしてこれが良いのか悪いのか、答えの出さる事ではありませんが、本人が幸せと感じているのか。そこが重要となってきます。
多くのことを考えさせ、気付かせてくれました。