第2話 内側から見てみるのはどうですか?
「「世界」を本棚などに例えられたわけですが、私に言わせますと、「世界」は物質ではないということです」
「と、言いますと?」
「「世界」を見ている、一個人の中にこそ「世界」は存在するのです」
「奇妙な説ですね。私もあなたもこうして存在しているというのに」
「まあ、ゆっくりと聞いてください。私はあなたを目にして喋っている」
「ええ」
「私には、あなたと対談するという、特殊な世界が広がっているのです」
「ロマンティックな話ですね」
「ただ、私と話していない人々の暮らしなど見えていない。私の手の届く場所、私の目が見える場所までが「世界」だという訳ですよ」
「なるほど。残酷ではありますが、関係のない場所は無に等しいと」
「そうです。あっても無くても同じなのですよ」
「では、無関係だったはずの者が、突然関係するとしたらどうですか」
「「世界」に含まれます。未来にも、過去にも、私に関係する歴史はすべて「世界」です」
「あなたが目をつむれば、私が関係しなくなるということはありませんか?」
「あり得ません。たとえ、私が嘘を貫き通して自らを欺けたとしても、「世界」である完全無欠は全てを記録します」
「ほう?「世界」があなたの心で、「世界」が「完全無欠なる神」ならば、「完全無欠なる神」は、あなただということになる」
「知らなかったのですか?人間は死んだ瞬間に「完全無欠」になるのですよ」
セカイシックにいきましょう 登月才媛(ノボリツキ サキ) @memobata-41
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