セカイシックにいきましょう

登月才媛(ノボリツキ サキ)

第1話 あなたにとっての世界ですが……

「”世界”っていったい何だと思いますか?」

「ふむ……私にとっての世界でしょうか。確かに今まで考えようとした記憶がありませんね……」

「いい機会です。意見を交わしましょう」

ティーカップを置いて、足を組みなおした。

「「世界」と言えば、大アルカナの二十一か二十二番目のカードでしたか?」

「ええ。意味に、「成功」や「旅」がありますね」

一人が本棚から本を抜き出して言った。

「「人生」を「旅」に例えた人物がいたのですがね、私は、「人生」は「本」だと思います」

「それは。なぜか聞いてもよろしいですか?」

「一人が、「人生」を書き綴る。これには量がありますし、薄い、厚いなど差がありますね。その本は、本棚にしまわれる」

本をもとの位置に仕舞った。

そして、そっと掌を本棚にあてがった。

「そして、その「本棚」こそ、「世界」。あるべきものがあるべき場所にある調和と完全さ……アルカナの意味にもちょうど合います」

部屋にほう、とため息が響く。

「その発想はありませんでした!そこまで深く考えていらっしゃるとは」

「私は語りましたよ?どうぞ、あなたもご意見をお聞かせ願いたい」

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