概要
その温もりは、俺の魂を粉々に打ち砕き、中から純粋な一雫を溢れさせた。
俺は肌寒い空気に晒されながら、夜のプラットフォームにぽつんと立っていた。そこに漂う闇が、俺に混乱と煩悶の気持ちを抱かせた。だが、俺は彼女を待ち続けて、ただひたすらに祈っていたのだ。婚約していた彼女と喧嘩別れし、もう寄りは戻せないかと思っていた。けれどその矢先、彼女から電話があったのだ。そのほんのささやかな希望を頼りに、俺は指輪をして彼女を待っている。寒さなど、気にならなかった。この胸の奥から、狂おしいその熱情が、確かに体を火照らせているからだ。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?