第6話 エル・ベガス
いつの間に着替えたのだろうか。シンプルな白のカットソーに明るいオレンジのフレアスカートというフェミニンな装いのミライは、スカートの裾を気にすることもなく、いつものように
「で、
「いろいろありがとうございました。ミライさん。本当になんとお礼を言ってよいか」
「アタシってば、どんな事件も円満解決の名探偵ですからね!」
「でも、これからどうすれば……」
「とりあえず、アタシのところに来なさいよ。お部屋あまってるし、クララちゃんの一人や二人増えたところでなんてことないわ」
こういうと、ミライはクルーガーのほうを向いた。クルーガーは
「ねえクルーガー、ばあやに連絡して日当たりの良いベッドルームを一つ用意するように言ってちょうだい。あと、着替えとかいろいろ必要なものも一式。それから、近所の学校の転入手続きも進めておいて。セントフルール女子学園なんてどうかしら……ちょっとレズっ気のある子が多いけど、まあいいでしょ」
「そんな……ご迷惑じゃ」
「いいのいいの。遠慮しないで。ちゃんと報酬はもらったしね」
ミライは胸元にキラリと光るペンダントを指さした。クララの母が持っていた
「だってこれ、なかなかの出物よ。売ればそこそこのお金になったと思うんだけど……なんであんたのお父さん、これを売らなかったのかしら」
「多分……母の形見だからです。血のつながらない私を育ててくれたのも、きっと母のことが大好きだったから……」
クララはそういうと、また涙を目にためた。
「お嬢様。そろそろ目的地上空です。現在の高度は6000フィート。降下用のジェットパックをお忘れなきよう」
ミライは
「一緒に行こう!」
ミライはクララの手を強引に引っ張ってそのまま後方に駆け出した。クルーガーが開閉スイッチを押すと、降下ハッチがゆっくりと開き、それと共にごうごうという風切り音が船内に響く。
ミライは無造作にジェットパックを背負い、武骨なゴーグルをかけると、あまりの急展開に状況の理解が追い付かないクララに手際よくハーネスを取り付けて自分にしっかりと固定する。
「え? え? なんですか?」
パニック寸前のクララに愛嬌たっぷりのウインクをすると、クルーガーに大きく手を振った。
「行ってきまーす!」
クララの悲鳴に耳をふさぐと、ミライは勢いよく船外に飛び出した。
オレンジのフレアスカートと花柄のワンピースが風にはためきながら、真っ青な空に鮮やかな軌跡を描く。
どうやら、合コンの時間には間に合いそうだった。
銀河美少女伝説 藤良群平 @kevin0129
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