ストーリーをジョークとジョークで挟んで盛り付けた理不尽SFコメディ

 生身の人間(例えば私やあなた)の人生は、無数のイベントと、その間に挟まる繋ぎで構成されていますが、時としてこの繋ぎの存在を億劫に感じることがあります。この繋ぎから解放されるために人類は人感センサー付きの監視カメラを開発したのですが、幾つかの物語(例えばこの小説)は、より効果的な方法で問題を解決しました。
 つまり、繋ぎを与太話で埋め尽くすのです。

 進化の果てに前衛に至った生態系、進化の果てに頓痴気に至ったロボット技術、進化の果てに理不尽に至った社内システム。
 全ての行に幸福な読書体験が詰まっており、時にそれらが伏線として背後から飛び出したり、時に主人公を救うこともある。

 勿論、与太話が楽しめるのは本筋の面白さもあってこそです。
 前シリーズから成長し、ブラックな展開(社畜的な意味で)にある程度開き直って対応できるようになった主人公と、それでもなおヘコませてくる周囲の織り成す地獄には、悪いと思いながら声を出して笑ってしまいます。

 そして何より幸いなのは、これと同じだけかそれ以上のテキスト量を持つ前シリーズと、同じだけかそれ以上のテキスト量になるかもしれない次シリーズがあることでしょう。

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