マシマシで、モリモリな痛快小説

 SFの大家ロバート・A・ハインラインによると、物語には三種類あるという。

「成長する主人公」、「問題を解決する主人公」、そして「ボーイ・ミーツ・ガール」だ。
 本作には、その三つすべてがある。
 冒頭で命の危機を告げられた主人公は、たった十五センチしかないじぶんの余命をこよなく伸ばすために、ヒーローとなってヒロインを救うことを要求される。
 だがそこは、なんの取柄もないダメ・リーマン。うまくいくはずもない。
 そこに重大な危機があり、強大な敵がおり、助けを求めるヒロインがいる。しかし、彼には何もない。だが、すべての災厄が解き放たれたパンドラの箱の底には、たったひとつの希望があった。なけなしの勇気という、最後の希望が。

 バトルあり、熱い展開あり、ギャグあり、ツンデレあり、タイムリミットあり、恋あり、ピンチあり。この短い容量のなかに、物語のすべてがマシマシで盛られている。

 そして、ネタバレになるが、ハッピーエンドもありだ。
 

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