開墾
長きに渡る戦乱のため疲弊した土佐の国を再生させるべく動き出した我が長谷部家。そのそもそもの原因がどこにあったのかについては置いておきまして……。私の先祖。実は中国からの今は帰化人と言わなければいけないのでしょうか。私(誰!?)の頃は渡来人として歴史の教科書で取り上げられていたのでありましたが、その私(これは元親)のルーツであります中国の話に三国志と言うものがありまして、やっていることは侵略行為以外の何物でもないことを仕出かしていたのでありましたが、中国と言う国は『徳があるから治める地位に就くことが出来る』と言う考えがありまして、権力の地位にあるものがその立場を退くことになる原因は『徳が無い』ことになりますので。力ずくでひっくり返しても構わない。何故ならその人には徳が無いのだから。この考えを産み出すことにより殷は滅び周が中原を制することになったのでありましたが。それ以後も同様の考えに基づきまして権力者が変わっていく……。この考えが現代にも続いている地域ですと、意地でもしがみ付かざるを得ない。引退することが許されない。何故ならその地位を失ったのは徳が無かったのだから、その後。どのような扱いをされても仕方がない。たとえそれが任期5年とあらかじめ定められていようとも……。見ていて辛いところがございますが。
閑話休題。
言いたいことは当時。戦国時代の日本は、日本の中では珍しく力あるものが上の立場に就くことが公然と認められていた時代でありましたので、我が長谷部家が力で持って土佐を制しても一向に問題は無い。何故なら我らには『徳があるのだから』。で。ここで大事になって来るのが三国志の中でよく使われておりました『その徳を民に施すこと』。これを怠りますと、よそで民に対し優しい統治をしている勢力を誘致しようと言う動きが領内の人民から巻き起こることになる。それを防ぐためにも、今ちょうど外から侵入を企てようとしている敵がいないこの機会を捉え、民の暮らしを豊かなものにするのと同時に我が長谷部家がこの土佐から外へ押し出すために必要な国力を蓄える時期に充てよう。そのように考えているところであります。
さて国力を蓄えるためには民の収入から幾ばくかを巻き上げなければなりません。ただ巻き上げるだけではそれこそ他国から誘致を企てようとするもの並びに当時は兵農未分離の時代でありますので、武装農民が蜂起してくる。その武装農民にいくさの分野も支えて頂いていることもありますので、あまりにぞんざいな扱いをすることは当然出来ないところがあります。そのため彼らの安全保障と権利を認めることと引き換えに……。となるのであります。
さて民の収入から巻き上げることが出来るものの中で、収入の尺度が目に見えるものであり、かつお金に換えることが可能。更には保存が利き、いざと言う時の食糧としても活用出来るもの。となりますと
『コメ』
が重要となって来ます。さぁそのコメの収穫量を増やす=税収を増やすために必要なものは何でしょう?まずやりたいのは『検知』。隠している田んぼを探し出す作業を行いたいのではありますが
(如何せん。田んぼを隠している人の大半が一領具足の主力部隊……。)
彼らを刺激するわけにはいきませんので、現状既にあるものを。と言うわけには参りません。で。次に考えられるのが『新田開発』。土佐の国と言うのは大半が山に覆われていることもありまして、元々の耕地面積も限られているところがあります。そのため折角いくさで活躍した武将に対して必ずしも満足の行くだけの褒美を与えることが出来なかった。更に今後しばらく内政重視の政策を採るため収入を増やす術を失った家臣の中には不満に思うものも出て来ることが予想されます。そんな彼らに仕事を与えつつ、彼らの収入も増やしながら我ら長谷部家の国庫も豊かなものに出来る。一石三鳥の制度になる。しかも彼ら家臣は農民でもあるため野良仕事も厭わない。
……と国親に打診する元親。秋の収穫に向け『開墾』に邁進する長谷部家でありました。そこで得た成果は?
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