山師
山で削った土砂を開墾地域に運び積み上げては大水に流され、踏み固めては台風に壊される……。いつ終わるともしれぬ水との闘いに
(こんなことなら新田開発しなければよかった……。)
とやけっぱちになりそうになるも
(……指示出したの俺だからな……。)
と土佐国内各地の河川を上ったり下ったりの日々を送る長谷部元親。そんなある日。幸か不幸か険しく平地の狭さが故。魅力がないこともあり、平素。人の行き来が全くと言って存在しない土佐の山奥に見知らぬ集団が出入りしているとの情報を得た元親。
(……もしや三次の手のものが……。)
と至急彼らをひっ捕らえることを命令する元親。
2日後。行方を捜していた不審人物の代表と名乗るものより
「是非国親様にお会いしたい。」
との申し出が……。
(敵の刺客かもしれぬ故まず私が相手する。)
と厳戒態勢の中。元親自ら代表者と会見の場を持つのでありました。
そこで代表者が述べたことは?と言うと
「私共は金や銀などを求め、全国の山々を歩いているものであります。先日、こちら土佐の国を歩いていましたところ川より(袋を取り出し)このような砂金が混じっておりました。これを受け我々が付近の山を調べていましたところ、どうやら金が眠っているのではないか?と言うことがわかりました。そこで元親様にお願いなのでありますが、是非我々にその金が眠っていると思しき山の採掘の権利をお与え願うことは適いませんでしょうか?もちろん発見の暁には採掘した金の内、(具体的な数字を示す)を長谷部様に納めさせて頂くことをお約束申し上げます。」
(……なんか胡散臭い話だな……。)
と訝しむ元親。しかし現状の我が長谷部家の技術力では自力で金を採掘することは出来ない。ならモノは試しと彼らに託してみるのも一つの手か……。
と採掘の許可を与える元親。その答えを聞いた代表者はあろうことか
「然らば元親様。我らが金を発見するまでの運転資金をお与え願えますでしょうか?」
(えぇえぇぇぇ!!ただで掘ってくれるんじゃないの!!!)
と嘆くも。既に賽は投げられた状況。あとには引けぬと。ただでさえ枯渇気味の資金を更に絞りに絞り抜いてねん出し、彼らに渡したところ。
幸いにも無事。金山は発見され、毎月のように彼らからの上納金を受け取ることになった長谷部家。その上納金を何に使ったのか?と言いますと……結局は治水工事に消えることになる……。なまじ毎月資金が入って来るものでありますから
(……資金が無いことを理由に休むことも出来なくなった……。)
これで工事が進むことについては喜ばしいことなのであるのでありますが。忙し過ぎるのもそれはそれで問題であるのでありまして……。
殿!!俸禄は足りておりますか!? 俣彦 @k_matahiko
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