【第三十一話】ギルドの戦力
俺は退院した。
うん、なんも起きなかったね。クラリーチェさんが見舞いに来てくれたくらい?まあ交遊関係無いもんな俺。
ちなみにジーク君は誰かと遠くまでクエストに行っていてまだ帰ってこないらしい。
「今日が退院ですね。」
看護師が俺に話しかけてくる。この療養生活、看護師も男だからやってらんない。他に女の子もいたしチェンジを頼んだらルガードさんに叩かれた。
「でもまさかバルド大森林で呪いにかかるなんて災難でしたね。」
そう、俺がここにいるのは森で謎の生物に呪いをかけられてそれを治すため、ということになっている。怪我人が療術も受けずにいるなんていうことは普通なくて他の団員から見て怪しく見られるからだそうだ。
だから痛みが引いてきても歩き回ることを許されず話し相手はこの看護師さんかポチのみだった。そのポチもどっかに出掛けて行って夕方まで帰ってこないなんてことがあったし、本当に退屈だった。
看護師さんが荷物を持ってきてくれた何でも偶然ルガードさんが拾って保管していてくれたらしい。
「ありがとうございました!」
挨拶を済ませ建物を出る。ポチも俺が元気になってかはしゃいでる。さて、退院後、まずどこへ行こうか。
そうだな、まずはギルドへ行こうかな、実は騎士団の医務室にいる間に飯代やら宿泊代やらきっちりお金を取られていたので懐が寂しい。クエストでも受けてお金を稼がねば。
「こんにちわー」
・・・返事がない。クラリーチェさんは居ないみたいだ。
「それにしても静かだよなここ。」
商業区にあるギルドとか覗いたけど建物でかいし人は多いし活気があるってああいう事だと思った。たぶんあれが大手なんだろう。あのギルドには明らかに冒険者って格好してる奴らが待機しててクエストなんかが壁に張り出されるとそれを取り合ってたりなんか俺の思う異世界のギルドって感じだった。
そういえばかなり前にやった薬草を納品するクエストで余った薬草の報酬を貰ってないんだった。ワイルドボアに襲われてなかったらあの帰りに貰っていたはずのお金だ。
早速貰ってきた。袋の中には金貨三枚、サラさん曰く質が良かったから高く売れたそうだ。
さてこのお金で何しようか、そんなことを考えていると突然、
ガッ
何者かに後ろから首を絞められた。丁度チョークスリーパーみたいな感じに。
「くっ、なんだお前!?」
偶然首と相手の腕の間に俺の腕が入ってかろうじて声は出せる。
それより強盗か!?こんな寂れたギルドに盗るもんなんてねーだろ!
「ほーう、金貨三枚か」
いつの間にか金貨の入った袋を盗られて中身を見られてる。
返せ!っていうか腕が外れない!俺を絞めている腕は丸太のように太く、そしてビクともしない。くそ、なんでこんな時に誰も居ないんだ!
その時ギルドのドアが開く。入ってきたのはクラリーチェさんだった。
クラリーチェさんだ!助かった!
クラリーチェさんはこっちを見てギョッとした後慌てて、
「おいっ!ダリス何やってる!早く離せ!」
すると俺を拘束していた腕の力が抜けて、何とか腕から抜け出せた。こいつの顔を見てやると三十台半ば?くらいの大男だった。
えっ?っていうかクラリーチェさんと知り合い?
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「はっはっはっ!いやぁ、すまんすまん!噂の新人を見かけたのでな、ついちょっかいをかけたくなったというわけだ!」
「勘弁しろダリス、お前のちょっかいは度々ちょっかいで済まん。そもそも、今日退院するらしいと私が話した時にお前が会いたいと言ってここに居たんだろう?それなら普通にあって普通に話せ、暴力ではなく!」
確かにさっきのやつも下手したら俺はまた病院に戻らなきゃいけないところだった。
「紹介しようこいつはダリス、一応このギルドの主戦力の一人だ。」
「一応はないぜ団長ー、俺は金級冒険者だぜ?」
「そのくらいフォーレならどこのギルドにもいるだろう?・・まあいい、一応紹介しておくが新人のユウシだ。」
「三谷夕士です。」
「聞いたぞ?ジー坊の友達なんだってな、仲良くしてやってくれ」
「ジー坊って?」
「ジークフリーデのことだ」
クラリーチェさんが補足してくれた。たしかにジーク君がそんな名前だった気がする。ずっとジーク君としか呼んでなかったから一瞬ピンとかなかった。
「ユー坊、お前はどこ出身だ?」
「ユー坊?」
「ユーシでユー坊、いいだろ?それでどこ出身なんだ?」
「行っても分からないだろうから簡単に言うと、とても遠い所だな」
クラリーチェさんのナイスフォロー、でも本当に言っても分からないんだろうなあ、日本なんて。
「だがよう、新人でまだ見習いだろ?よく金貨3枚も稼げたな。」
「ユウシは特殊でな、体質で魔力が極端に少ないおかげで魔物に襲われないんだ。」
(ちょっとクラリーチェさん、そんなこと他の人に言っていいんですか?)
(一応セオドア様とそういうことで説明するということになったんだ、問題はあるか?)
問題は無いけどそういう設定は最初に俺に教えてほしい。
「へえ、魔力が少ないか、まるでクレア嬢ちゃんみたいだな」
「クレアを知ってるんですか?」
「まあ俺がちょっかいかけ過ぎて嫌われてるがな」
そういえばここのギルドメンバーだったな。正直忘れてた。最後に見た時はへとへとな様子でまるでゾンビみたいに学園を歩いていた。怖すぎて話しかけられなかった。
「そうだ、今日久しぶりにクレアも来るらしい、昨日連絡があった。律儀な奴だな。」
「じゃあそろそろ俺は行くわ」
「あれ?クレアに会っていかないんですか?」
「今日はいいや、暫くフォーレ近辺で仕事受けるしいつか会うだろ」
そういってダリスはギルドを出て行った。
「すまんな、あいつは
確かにセオドア爺さんレベルでインパクトがあったな。
こんな異世界転移、聞いてない! - 転移したけど能力(チカラ)無し - @mousuguharudesu
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