夕暮れと彼女

「手をつなぎたい」

 右手を差し出しながら告げる。眠りかけの太陽はオレンジソーダのようだ。

「……つなぎたいの?」

「ああ」

 彼女は無言で両手を覗き、真上に伸びをしてとてとてと横に並んだ。

「ん」

 俺の左手に彼女の小さな右手が絡まる。甘酸っぱい気持ちがしゅわしゅわと弾けていきそうだ。

 隣の君はどんな顔をしているのだろう。彼女の横顔は橙色に染まっていた。

 口元が緩む。既に沈んだ夕日に、心の中で「ありがとう」と伝えた。

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【200文字】演技派な彼女 さつきやまい @kurakuragogatubyou

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