【200文字】演技派な彼女
さつきやまい
崩れる俺と、赤い君
「ごめんなさい」
一世一代の告白。答えは、彼女の下げた頭が視界に映った。
遅れて届いた彼女の言葉が理解できなかった。
ああそうか。心と脳が理解する。俺は選ばれなかったのだ。
何かが崩れる音がした。深い水の底に沈んだような体の気怠さも感じる。
「……だって私のほうがきっと先だから」
呆然と彼女を眺める。
「つ、つつつ付き合ってくりゃしゃっ」
赤く頬を染める演技派な彼女の噛んだその言葉を、噛み砕く時間はいらなかった。
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