プリンセス・ダービー

　今から数年前、デビューから１年も経たないうちに通算１００勝し、２年目には５大クラシックの桜花賞、日本ダービー、菊花賞のＧ１３勝という伝説を打ち立てた天才騎手がいた―――。名は『小原怜』。『稀代の魔術師』の異名を持ち、これまでにＧ１１３勝。これからの日本の競馬界を背負っていく存在となっていた。しかし、彼はある落馬事故を境に『引退』を余儀なくされてしまった。

　あれから時が経ち、小原怜は調教師として再び競馬界に入ってきた。そんな若き調教師のところへ一人の新人騎手がやってくる。『桜庭京子』。騎手としては珍しい女性である。今年がデビュー年である彼女は、彼が騎手時代に親しかった先輩調教師からの依頼であった。乗り気でなかったが、恩師の頼みでは断れない、と彼女を育成することになった。

　ダービー制覇…続きを読む