退廃した砂の惑星からの脱出劇。少女を独りにしないと、ロボットは誓った。

彼は、白い砂に覆われた退廃の星を探索していた。
動く影は彼のものただ一つ。会話する声は二人分。
彼はロボットであり、名前はブラザー・ルーカス。
会話の相手は、オペレーションシステムのレディ。

軽快なテンポで喋り、無駄話を試みるルーカスの
奇妙な人間くささが、まず愛嬌があってかわいい。
融通が利かないようでいて何かお茶目なレディも。
しかし、二人はなぜこの星をさまよっているのか。

二人は脱出艇を発見し、内部から少女を救出する。
エリーと名乗った少女はこの星で二人目の遭難者。
ルーカスはレディの助けを借り、エリーとともに、
他の生存者とこの星からの脱出方法を探し始める。

彼らの搭乗していた宇宙船に、何が起こったのか。
その星は一体いかなる経緯によって退廃したのか。
謎が解かれるにつれ、悲しい事実が明らかになる。
彼らの間にある信頼は深まるが、脱出の為に──。

ロボット特有の一途さと優しさがとても心地よく、
元気で健気なエリーの魅力とも相まって、面白い。
悲しさや切なさや寂しさが根底に横たわりつつも、
ラスト、言い表しようのない安らぎへと導かれた。

とても好きな作品でした。

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