第6話 兄貴と僕と時々触手

①1D4


1 ひのきの棒

2 針          ②1D4 縫い針 まち針 鍼灸針 麻酔針

3 生きてる糸      ③1D3 麻縄 高硬度ワイヤー 単分子ワイヤー 

4 高速さで動ける魔法剣 ④1D2 脱魂する 脱糞する

ーー

ttp://bulkyaruo.sakura.ne.jp/test/read.cgi/BUL/1406215094/2281


①【1D4:1】

②【1D4:1】

③【1D3:2】

④【1D2:1】


「ありゃ、スカった」


 映像には、ロキの伸ばした腕が半ばから、シャボン液を垂らした液面のように歪む空間に消えて見える。


 おもむろに何もない空間に腕を突っ込んだロキであったが、ひとしきり漁るとそう呟いた。抜き放たれた手の平には何も握られておらず、しかし亜空間から伸びる瘴気が糸を引くように纏わりつく。


「ごめんタカハシ、やっちまいましたぞー」


「何を!?」


 あっけらかんと言い放つロキの脇で、開きっぱなしの亜空間からはあれよあれよと瘴気の触手が侵食を続けている。


 ロキの空けた狭い門から迷々に通常空間へと解き放たれる瘴気は、何かを求めるようにうねり、やがてタカハシの方へとその先端を向けた。


「ひぃ!」


 明確な輪郭を持たないモヤのような瘴気。ミミズの頭を思わせる丸みを帯びた先端。それはややあって一斉にタカハシへと殺到した。


「何かこっち来てるぞぉおおお!?」


「歪みねぇな!」


 咄嗟にビリーはタカハシの前で躍り出る。手に持ったハチェットを振るうと、瘴気が一文字に切り裂かれた。ビリーはもう片方に握るラウンドシールドを構える。だが依然迫り寄せるは膨大な数で、喩えビリーの全身であっても受けきれない程だ。


「シールドバッシュぉああ!!」


 裂帛の気合、翳したシールドに体重を乗せ、突き出す。シールドは衝撃波を纏い瘴気に迫り、ほぼ前面に迫る全てを押しとどめ、また霧散させる。


 だがそれでも視界一杯に広がる瘴気のほんの一部に過ぎず、一本、また一本と脇を抜けていった。


「うおっ! うおおおおお!?」


 手に持つのは棒っ切れ一つ。タカハシは必死に振り回す。と、棒に叩かれた瘴気が四散した。


「うお!?」


 と思ったら見る間にその場で再結合。改めてタカハシへと迫った。見れば、ビリーの切り飛ばした瘴気の一団も既に再結合を済ませ襲いかかってきている。


「どおおおおおお!!」


「ほいほいほい、っと。ピンチピンチ大ピンチだぁねー」


 一方のロキはカメラを地面に一端置き、画面外で何かしらの処理を行っている。


 此度現れたのは世界を世界足らしめる復元力である。


 過去、現在、未来、二次元三次元四次元に並行世界。


 人が想像し足り得るだけで途方もなく存在すると考えられる世界は、一様に独自のバランスが存在している。否、言ってしまえば常の現状で満杯なのだ。故に現代人が過去へ赴く行為には歴史の改変というバランスブレイクが発生し、はたまた未来へ赴くには現代に置いて一個の存在が消滅するという現象からの世界改変が発生しパラドックスを発生せしめる。


 現状に比例した未来が存在するとすれば、現状に居た筈の者が消えると言う事は居たはずの現在より紐付けられた未来の消失であるとも言え、故に未来は分裂する。

 世界を跨ぐ行為はそれ程に、世界にとっての変事であり、つまり世界は選択を迫られるのだ。修復するか、受け入れて変異するかを。


 そしてこの世界はタカハシという異物を排除すべく作用した。

 知恵、そして先進文明を身に刻んだタカハシは世界を歪ませる。それは接触感染のように、タカハシと関わった者からネズミ算の様を呈して広がっていく開花する可能性。

 可能性があるだけで十分であった。疑わしきは罰せずなどとは、保身主義者の言い訳である。大概この手の戯言は、その責任を追わない者の口から発せられるのだ。


 だがそうした意思に拮抗し得る存在が居た。

 ロキである。

 意思とはつまり 神 と人が恐れる作用、現象。それに名をつけ縛るのが人が使う最も古い魔術であり、近代、台風と名付けられた災害もかつては名を持つ神であった。そしてロキもまた古い神であり、近代ではまことしやかに呼ばれる名を、悪戯好きの神と言う。悪意の化身である。


「よっと、無事かいタカハシー」


 カメラを拾うと瞬く間にタカハシの元へ転移し、押し寄せる瘴気をシッシと払う。


「無事じゃなぁあああい!」


「いあー、どうもやり過ぎちゃった見たいでねぇ? 逆鱗踏んじゃったみたいですなー」


「どうすんのこれ! どうなんの!?」


「門は閉じたからこれ以上は増えないんだけどねぇー、いやはやどうしたものか。

 ――あ、閃いた、ねぇねぇ聞いてタカハシー」


 あくまでのほほんと問い質すロキにタカハシは――


 1 聞く

 2 聞かない

 3 残念


 1D3

 ttp://bulkyaruo.sakura.ne.jp/test/read.cgi/BUL/1406215094/2282

 【1D3:3】


 今正に蠢く触手に飲み込まれんとしていた。


「ありゃま」


 腕だけを助けを求め伸ばすタカハシ。

 ロキは呆然とその光景を見つめ、


 1 助かる

 2 残念


 1D2

 ttp://bulkyaruo.sakura.ne.jp/test/read.cgi/BUL/1406215094/2283

 【1D2:1】


「流石にまだ早いよねぇ」


 どちらがより面白いかを吟味した結果、継続を選び取る。手を翳し、


 1 雑

 2 そりゃちゃんと対応しますよ

 ttp://bulkyaruo.sakura.ne.jp/test/read.cgi/BUL/1406215094/2284

 【1D2:1】


「爆裂魔法ー」


 タカハシごと、瘴気ごと、付近一帯爆炎でもって吹き飛ばした。



 目が覚めるとそこは病院であった。

 木造の病室は凡そ衛生的ではなかったが、タカハシを看護する女性はとても魅力的だった。ディアンドルに淡桃色のエプロンで、十代程の年若き少女である。化粧っ気の無さが白い肌を際立たせ、覗く蒼の瞳が美しい。


「うん、もう退院して大丈夫だね」


 年老いた医師が告げる。その後姿を映し、ロキは「良かった良かった」と相づちを打つ。


「しかしこの棒は一体何だね、何をしても離さないなんて、余程大事なものなのかねね」


 タカハシの右手にはあの時拾った棒きれが強く握られており、それは医師がどれ程の力を込めても取り上げる事が出来なかった。


「いやーなんでしょうねー」


「お、目覚めたか?」


「おや、ビリーさん」


 カメラが回り、タカハシの病室へ入って来た戦士ビリーの姿を映し出す。


「しっかし随分長い事気絶してるなコイツぁ」


 ロキの放った広域爆裂魔法は付近一帯を焦土と変えたが、不思議な事に三名は比較無事であった。ビリーに至ってはその体でタカハシを担ぎ街へ届ける程である。


「さて、何だかんだで中止になっちまったが、無事も確かめられたし」


 しげしげとタカハシの寝顔を眺めたビリーは、気を取り直したとばかりにロキカメラに向き直ると、


 1 別れる(別の出会いを探す)

 2 訓練再会すんぞオラッ


 ※支持の多い方のダイス目を増加する方向に修正。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 言い訳:半ば辺りの構想。瘴気を棒っきれに封印して触れたものをタカハシに絶対近づけない効果を付与する予定でした。具体的に言うとバシルーラ。


 ダイスが腐った……


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