第7話 糸を紡ぐアンコ

 ※謝罪:前回の末尾のダイスが非常に判りづらく、少々偏る結果となる事を陳謝させて頂きます。

 

 1 別れる(別の出会いを探す)


 2 訓練再会すんぞオラッ


 3 1


 1D3


 ttp://bulkyaruo.sakura.ne.jp/test/read.cgi/BUL/1406215094/2285


 【1D3:2】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「訓練再会すっぞおるぁん」


 前後編な作りとなった動画の続きが投稿される。

 しかしその動画は既に転生俺TUEEEからは大きくかけ離れてしまい、一時増えた転生好きなユーザーの維持には失敗していた。

 再び最底辺動画と成り下がった動画は、寂しく一つだけのうp乙コメントが流れるだけであった。


 まぁそもそもが掲示板のスタイルと動画をかけ合わせた事がそもそもの間違いであると言えるのだが、今更である。


 未だ意識を深く沈め、時折うなされるタカハシ。ベッドを脇目にビリーは組んだ片手を顎にうなった。


「と、言いたい所なんだが実は俺はこの後用事が入っていてなぁ」


「ありゃま」


「うん、そこでなんだがどうだ、一つ一緒に来やしねぇか」


「なるほどー。ちなみに用事とはなんですぞ?」


「いや何、魔王城にな」


「乗った」


「乗るな!」


 勢い乗っかるロキの企みは、済んでの所で目を覚ましたタカハシによって防がれた。


 聞くとどうもこの戦士ビリー、とある勇者PTの一員で、街に立ち寄ったのは最終決戦前の準備が為だったのだと言う。装備は大方整い、回復もPTには僧侶が居る。別れを済ませて置きたい良人も既に居ないビリーは、仕方なしに暇を潰すべく懐かしの街を訪れていたと言うのだ。


「正直まぁ、おめぇはどうしたものか不安ではあるが、見たところそっちのねぇちゃんは只者じゃねぇ。旨くすれば魔王退治にも希望が持てるかもしれねぇと思ってな」


「いやいやいや、何をどうしたら冒険のの字も進んでない俺が魔王退治に参加せにゃならんのですか。ロキの力が欲しいならドーゾ持ってって下さいむしろお願いします」


 ベッドから起き上がりタカハシは片手に握られた棒っキレの存在に気づいた。そして何やら顔面に精一杯と書かれた表情を浮かべて力み、やがて異常な状態を察知するに至る。


「おや、タカハシは薄情ですなぁ。運命の赤い糸で結ばれたこの私を魔王城吶喊とっかん作戦に差し出そうとはー。あまりの薄情さに思わず世界を滅ぼしてしまいそうですぞーヨヨヨ……」


「いつそんな仲になった! 俺はポロっと世界を滅ぼす駄女神とねんごろになりたいとはこれっぽっちも思わんわ!」


 どうも右手に握られた木の棒が、まるきり接着されたのかはたまた融合したのか、離れないのである。どころか、右手は指を開くことすらままならない。


 しっかりとツッコミは入れたものの、指を折らんが勢いで右手を開かせようとすれども指一つ動く事は無く、起きしなのタカハシは軽いパニックを起こしていた。


 何という事でしょう、タカハシは木の棒に呪われてしまった!


「と、マイハニーが言ってますのでその話は無かった事にー」


「そこを何とか頼めねぇか」


 そんなタカハシを余所よそにビリーは以外としつこくロキに、カメラ画面に向かって懇願する。


 というのも、本来四人PTであった勇者一行、最終決戦を前に魔法使いの妊娠が発覚したと言うのだ。お相手は勿論勇者。

 

 決戦に挑むと主張する魔法使いと、魔法使いをPTから外そうとする勇者。二人の意見は平行線を辿り、今回の準備期間は実際はその両者の意見すり合わせの為でもあった。


 魔王を倒さねば人類に未来は無い。多分。

 しかし勇者は生まれてくる命を尊重したい。そして何より愛する者を死地へと送りたくはない。今更だが。


 仕舞いには感情論と水掛け論がPT瓦解寸前にまで発展し、止む無く一端のクールタイム取得を相成ったのである。


 つまりロキが参加する事で、魔法使い枠を補填出来ないかという目論見がビリーの発想である。

 先日見た限りではロキの攻撃魔法の威力は大した事は無い。何せビリーは即座に動けた程だ。しかし謎の空間を呼び出す術、呼び出された瘴気。悪魔の類かと疑う程に、ロキの力は計り知れないものがあるのも確かである。


「タカハシのヤツは俺が死んでも守る。どうだ?」


 正直口から出たデマカセに等しかった。しかし男女の機微に乏しく、二人の調停を僧侶に丸投げした身としては、今回の発想は降って湧いた妙案にすら感じられ、今やビリーにはこれ以上ない唯一の手にすら思えていた。

 正直言えばビリーが倒れればその後の保障は一切無いのだが。


「ああ、タカハシはまぁ正直、正確に言えば死なないから大丈夫だけどねー」


「え?」


「は?」


 ロキがポロっと零す一言に、素っ頓狂な声が二つ上がった。カメラはビリーからタカハシへとスライドする。未だ右手に張り付いた棒っキレに四苦八苦していたタカハシであったが、流石の爆弾発言には言葉もなく呆然と口を半開き、カメラを見上げていた。


「だってタカハシ死んだら動画オシマイだしねー。運命ダイスが転ばない限り、

 タカハシは死なないわ。私が守るものCV:林原(キリッ」


 セリフとは裏腹にウィンクにピースを添えたテヘペロスマイル、ロキが始めて画面に映り込む。作られた笑顔であったが、うら若く、化粧っ気の無い整った顔立ちであった。


「あー、そう……死なないなら、まぁ」


「おぉ! 有り難ぇ!」


 そういう事になった。


ーー


 中略


 かくて紆余曲折あり、タカハシは勇者一行と共に魔王城へ乗り込むハメとなった。


「よし、行くぞっ」


 気合十分、腰に下げた聖剣を抜き放ち、勇者は眼前に聳える漆黒の魔城に燃え盛る闘志を発する。


「まだ先は長いのですから、今から飛ばしてはMP魔力が持ちませんよ?」


 その脇に控えるは攻撃力重視編成の為、禍々しい毒槍デーモンスピアを装備し大地に突き立てる僧侶。曰く、絶えず魔物の脅威に曝されるこの世界の僧侶には非暴力の言葉は無いとか。


「おう、何はともあれ魔王の元に辿り着くまで油断すんじゃねぇぞ」


 そして盛り上がる筋肉、あふれ出る兄貴汁、戦士ビリー。


「うっへぇ……」


「これはこれは、中々それっぽいですなぁ」


 最後尾には武器・ タカハシと、カメラマン件ガヤ担当、ロキとなる。


「ちなみに私は常識範囲内の魔法しか使わないませんぞー。タカハシの出番無くなっちゃいますからなぁ」


 類まれなる魔力を見込まれ補充人員としてスカウトされたロキであるが、あくまで趣旨はそこであると、ロキは念入りに釘を指す。


「きっと……きっと魔王を討ち滅ぼし! 生まれてくる子供の為にも、明るい世界を築き上げるんだ!」


「頑張りましょう!」


 が、勇者一行聞いちゃいねぇ。


 彼らは今まさに放たれん一筋の飛矢である。満身の力を込め引き絞られるつるに、遊びは無いのだ。


「なぁ、常識の範囲内なら魔法使うんだよな。例えば飛行出来る呪文とか、あるの?」


「ん、ありますぞー?」


「なら、飛んで魔王の玉座まで行っちまえば無駄な戦闘しないで済むんじゃね?」


 右手に張り付く棒っキレを意味なく振り回し、場に流されるまま最終ステージに巻き込まれテンションだだ下がりなタカハシは提案する。


 その空気の読めない裏道的効率タイムアタック思考に、思わず場の誰もがタカハシに視線を集中させ、次の瞬間、


「い、いや俺たちは正義の勇者であるから、そんな暗殺めいた事は」


「いやぁ、少数で敵の大将狙いに来てる時点で立派な暗殺ですわ」


「ですが吟詩といいますか、この戦いに勝利した後語り継がれるであろう伝説の事もありますし……」


「んなもん国が勝手にでっち上げますて。正義を信じる輩は自分に都合の悪い真実なんか黙殺一直線っしょ」


「歪みねぇな」


「こういった思考もある種転生チートの特権ですしおすし?」


 非難轟々であったが所詮英雄像に酔った思考では、ラストスパート主人公補正に入ったのか、タカハシの独壇場。屁理屈がとどまる所を知らない勢いであった。


「ふむ。ではこうしましょうぞ。私がこれからあまねく神視聴者様に意見を問い、審議ダイスに委ねる。諸君らの言い分も確かですが、タカハシの言にも一理はありますからな。

 そしてこのような場合に多数決は愚策。なれど今ともなれば審議に時間を割く訳にもいきますまい。

 故にダイスなのですぞー!」


 正直言えばダイスを振る機会を伺っていたロキである。ここぞとばかりに混迷した議論を制圧すべくまくし立て、反論を待つまでもなく、ダイスを取り出した。

 ゴリ押しである。


「では本日はこちらっ! ででどん!」


 1 男は黙って正面突破

 2 空から強襲は戦略の基本

 3 むしろ遠距離から呪文攻撃で良くね?

 4 下の下作。一人づつ様子見

 5 というか何で少数特攻なの馬鹿なの死ぬの? 軍隊呼べよ 総力戦だ!

 以下募集~


ーーーーーーーーーーーーーーー


 という事で他に案があれば募集します。何個でも構いません。結局ダイスですし。

 また、一応参加企画の文字数が2万なので次回で何とか収集がつけば良いですね。


 とはいえアドレス等で無駄に消費した分は個人的にノーカンなので、2万ジャスト以下には拘りませぬ。


 尚、今回の流れは以前頂いていた ひのきの棒で魔王城 を採用した形という事にしといて下さい。

 

 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る