笑いと感動と料理と料理と料理。きらめく物語の宝箱。

 一に料理二に料理。料理のためなら命もかける。一流の料理人になって自分のお店を持つのが夢。頭には料理のことしかない料理バカのシンデレラと、彼女に胃袋をつかまれてしまった王子様。そんな、いきなりのとんでも設定から物語は始まります。

 一流の料理人になるべく旅に出たシンデレラとそれに同行する王子様。行く先々で二人が出会うのは、おなじみグリム童話の住人たち。さらにはアンデルセンや日本のむかし話の住人たちまでも顔を見せてくれます。
 このキャラたちがね。濃いです。誰もかれも超強烈で。パロディのひと言では片付けられないくらいぶっとんでます(ほめてます)なによりその一人一人がとっても魅力的で気がついたら大好きになってるんですよね。

 そしてこれが呪いなら超強力な呪いであろう突き抜けた鈍感娘シンデレラと、一途で健気な王子様エミルの恋模様。いろいろいろいろあります。このいろいろはぜひ本編で確かめてください。
 とにもかくにも。カボチャの煮つけから始まったシンデレラとエミルの物語はラストで再びカボチャの煮つけに戻ってきます。

 笑いと感動と料理と料理と料理。美味しくて楽しい旅の終わりに待っているものは。

 おもちゃ箱のような、宝箱のような。きらめく物語のつめあわせ。まずはどれか気になったタイトルだけでものぞいてみてください。そうすればきっと、ぜんぶ味わってみたくなりますから。

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