シンデレラとカボチャの煮付け

グリム大陸の御伽噺 開幕です

プロローグ

　それはまだ、人の願いが叶っていた頃のお話。

　ここ、グリム大陸には多数の国が存在し、緑豊かな森や、中世のヨーロッパを思わせるような街が至る所にありました。

　船は帆船が主流、車も鉄道もテレビも無い大陸だけど、掃除機や冷蔵庫といった一見時代が合わないような道具が、なぜか当たり前のように存在する、なんともいい加減な設定の大陸。

　そしてそんなグリム大陸のとある王国の城下町には、シンデレラという、それはそれは美しい女の子が住んでいました。

　しかしシンデレラはいつも継母や義姉に虐められながら、毎日掃除や洗濯をさせられ、幸せとは言い難い日々を過ごしていたのです。

　それでもシンデレラは健気に働き続けます。綺麗なドレスを着ることが無くても、素敵な恋をすることが無くても。

　それはいつか、叶えたい夢があるから。

　これからお話しするのはそんな、みなさんの知っているのとは違う、ちょっと変わったシンデレラの物語。