Exponentiated linear omega level

第41話 第3水族館

『第3水族館の場所は、次のように定義されます』


s(1)f=g; g(x)=f^x(x)

s(n)f=g; g(x)=[s(n-1)^x]f(x) (n>1)


ss(1)f=g; g(x)=s(x)f(x)

ss(n)f=g; g(x)=[ss(n-1)^x]f(x)


F_3(x)=[ss(2)^63]f(x); f(x)=x+1

F_3=F^63_3(3)


(著者注: 各nに対し、s(n)とss(n)の型は(N→N)→(N→N)である)


「何か・・・難しそうですね」

『この系列の巨大数は、関数から関数への変換で定義されているので難しく見えます。しかし、実際に解析してみると前2つと比べて簡単に感じると思います』

「お願いします」

『具体的に、F_3の場合で見てみますね。その前に、便利な記法を導入させてください』

「それは、何ですか」

『ラムダを使った記法です。といっても、そこまで難しいものではなく、単に関数を表すための記号だと思ってください』

(著者注: 導入するのは形式的なラムダ計算ではないので自然数はラムダ式として扱いません。特に例えば2yは2×yの意味であり、ラムダ式のλf. λx. f(f(x))にyを代入したものではありません。)

彼女は例をいくつか書いた。


(λx.x+1)(2)=2+1=3

(λx.x^2)(3)=3^2=9


『ラムダの後に変数を書いて、ドットの後に式を書きます。f(x)=・・・と定義するのとほとんど同じですが、関数そのものを表せるという利点があります。たとえば、λx.x+1はxを取りx+1を返す関数なので、これに2を代入すると2+1=3になります。下も同様です』

「わかりました」


『では、これを使って、F_3を解析してみましょう。最初のfはλx.x+1です。FGHとの混同を避けるために、定義で使う方のfはλを使って書くことにします』


(s(1)(λx.x+1))(x)=(λx.x+1)^x(x)=x+x=2x=f_1(x)

(s(1)(s(1)(λx.x+1)))(x)=(λx.f_1(x))^x (x)=f^x_1(x)=f_2(x)

(s(1)(s(1)(s(1)(λx.x+1))))(x)=(λx.f_2(x))^x (x)=f^x_2(x)=f_3(x)

(s(2)(λx.x+1))(x)=(s(1)^x(λx.x+1))(x)=f_ω(x)

(s(1)(s(2)(λx.x+1)))(x)=(λx.f_ω(x))^x (x)=f^x_ω(x)=f_(ω+1)(x)

(s(2)(s(2)(λx.x+1)))(x)=(s(1)^x(s(2)(λx.x+1)))(x)=f^x_(ω+x)(x)=f_(ω+ω)(x)

(s(3)(λx.x+1))(x)=(s(2)^x(λx.x+1))(x)=f_ω^2(x)

(s(1)(s(3)(λx.x+1)))(x)=f_(ω^2+1)(x)

(s(2)(s(3)(λx.x+1)))(x)=f_(ω^2+ω)(x)

(s(3)(s(3)(λx.x+1)))(x)=f_(ω^2*2)(x)

(s(4)(λx.x+1))(x)=f_ω^3(x)

(s(n)(λx.x+1))(x)=f_ω^(n-1)(x)

(ss(1)(λx.x+1))(x)=(s(x)(λx.x+1))(x)≒f_ω^ω(x)

(s(1)(ss(1)(λx.x+1)))(x)≒f_(ω^ω+1)(x)

(s(2)(ss(1)(λx.x+1)))(x)≒f_(ω^ω+ω)(x)

(ss(1)(ss(1)(λx.x+1)))(x)≒f_(ω^ω*2)(x)

(ss(2)(λx.x+1))(x)≒f_(ω^(ω+1))(x)

F_3(x)≒f_(ω^(ω+1)*63)(x)

F_3=F^63_3≒f_(ω^(ω+1)*63+1)(63)


『このように、sやssはFGHと良い関係にあります』

「ω^ωを、超えたのですね」

『はい。すでに私たちは、ω^ωより大きい順序数が必要となる場所にいます』


〔お待たせしました。当列車は第3水族館に到着いたしました。海の世界をごゆっくりお楽しみください〕


『着いたようですね。行きましょう』

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