【実践練習最終日】何事も起こらない普通の日

○ルール 吃驚びつくりすることもない普通の一日をえがく。作家は、様様な吃驚びつくりするアイデアをもっているものだが、其処にいたるまでの日常がないがしろにされがちである。其処で普通の一日を描写する練習をする。これがもっともむずかしい。これができれば、充分に小説を執筆する資質がある。


 もうりようの悪夢にうなされて一度中途覚醒したのちに酒池肉林の淫夢をみて目覚めた。二回のゆめの内容をめいちようと記憶しているのはである。そうほうとも印象的だったので二冊の夢占いの事典をひもといてぼくせんしてみる。いずれも吉凶両方の意味があるらしい。降水確率五〇%の天気予報のように無意味だ。大抵毎日目覚めはよくかくしやくとして居間へおもむく。同居している父親と母親は睡眠中らしい。早朝のワイドショーをりゆうらんしながら麺麭ぱんにジャムをぬってらう。麦茶をえんする。あさはいつもこうだ。襤褸ぼろ襤褸ぼろの台所で食器のあいせんじようすると自室にもどる。パソコンを起動させておみのサイトを閲覧してゆく。今日は休日なので午前中から昼寝する。かつて母親に〈それは朝寝だ〉といわれた昼寝だ。TVを小音量でつけっぱなしで睡眠をとる。くりの東日本大震災きようこう何時でも緊急地震速報に気付けるようにしているのである。個人的なことだが故郷を猛襲した中越地震や中越沖地震よりも東日本大震災は衝撃的であった。ゆゑにこそである。この〈昼寝〉は充分すぎるほどながい。覚醒すると父親と母親も目覚めている。台所で水道水をえんすると自室で録画していたアニメをりゆうらんする。アニメ二本をりゆうらんするとひるだ。愚生も父親も料理が苦手というのか〈不可能〉なので母親がやきそばをつくってくれる。休日の午後となると予定は二種類となる。土曜日が休日の場合Kindleで電子書籍をむかぶんがよければ拙作を執筆する。日曜日の場合には毎週熱心にりゆうらんしているTV番組を連鎖的に視聴する。じんぜんたる休日には他人とかいこうすることもまずないのでゆうまえに入浴して体重を確認しパジャマに着替える。自室にてパソコンを起動させ体重体脂肪率などをテキストファイルに入力しBMIを計算する。十代で統合失調症にかんしてから向精神薬の副作用で二十キロ体重がばいしたためにレコーディング・ダイエットをしているのだ。意想外に二年間で十キロ程度減量できた。から三十分間ほどりようなる時間を閲する。日曜日のゆうは家族で『笑点』をみながらときまっているので番組開始時刻までひまなのだ。ようにしていつだんらんゆうらい歯磨きして自室にもどると造次てんぱいもなく睡魔に猛襲される。下手をすると一日十二時間熟睡することもある。とまれかくまれ今日は吉凶半々というか無論つつがしゆうえんした。降水確率五〇%の天気予報にもなにかしら意味があるのかもしれない。これは哲学である。

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『2週間で小説を書く!』~実践練習体験集 九頭龍一鬼(くずりゅう かずき) @KUZURYU_KAZUKI

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