第2話彼女の歌声…
昔、罪を犯した24歳の女性。
彼女は死刑が決まったはずだった、そんな彼女が最後にと看守に泣きながらお願いをし、死刑予定日1週間前に特別に行われたライブ。
彼女の前職は歌手でもなく普通の会社員、何故そんな彼女が歌を歌いたいと言ったのかは誰もわからない。
行われた場所は7月頃の15時過ぎ、海辺に近い工場地帯の一番高いビルの屋上、この日は工場の仕事を警察側が休みにした為、当然のように人は誰もいなく観客とよべるのは看守二人のみ。彼女の罪は人を殺めたや、薬ではなく、もともと穏やかな性格なので警察官なども彼女自身にはそこまで警戒はしていなかった、その為彼女の見張り役は物好きにも立候補した二人のみで他の人は誰もいない。
(何時まで歌っていいの?)
彼女は少し寂しげな顔で聞いて来た。
(気がすむまでどうぞ)
看守の一人が淡々と言う。
(ありがとう)
彼女は少し安心した顔で静かに歌い始めた。
彼女は少しだけ声をだしてならしてから歌詞を歌い始めた。
今日は風も無く静かな屋上に響く彼女の歌声、思わず看守二人も聞き入るほど綺麗な声と切ない歌詞。
彼女は時間など気にせず一つ一つ曲を歌って行く、バラードのような曲もあれば、アップテンポな曲もあり静かに彼女だけの歌声が響いている。
少し休憩も挟みながら歌う彼女、看守も少し暖かい気温と彼女の歌声で少し眠くなって睡魔と戦っている時に謎の男集団が現れた。
5、6人の体が大きいメンバー、看守二人も油断仕切っていたのですぐに地面に叩きつけられ取り押さえられる。
(別に悪さをするつもりはない、ただ彼女の歌の手助けがしてーんだ。処分はどうなろうと覚悟している。)
リーダーらしき一人の若い男が言う。
顔は黒いマスクをしており見えないが声などからして年齢は26くらい作業着を来ている辺り工場の人間達だろう、入り口は鍵を閉めていたがそこまで厳重でもないのですぐ開けられる。
彼女も突然現れた男達に戸惑っている。
(突然で申し訳ない、俺の名前は周って言うんだ。俺らはここで働いてるものでな今日は休みにされたが片付けたい仕事があって来てみたらべっぴんさんが綺麗の声で歌ってるのが聞こえちまってな、聞いてるうちにどうも若い連中がうずうずして派手に騒ぎたいって言うもんだから少しだけ手伝わせてくんねーか?)
笑いながら男は後ろにいる男達に指を指しながら言う。
後ろの男達はライトを用意したり、音源を持って来たりいろいろと動いている
彼女は戸惑いながらも後ろにいる看守達に目をやる。
(あ〜…もう好きにしろ、やりたいならやれ囚人番号0番。俺らもお前の歌声には聞き入ってるんだもう少し聞きてーのもあるしな。)
看守達もこれ以上は何も言ってこない。
(あっあの!歌える曲あと一曲しかないんです。それでもよければ…よろしくお願いします…!)
彼女はおどおどしながらも周に言った。
(それでも十分だ!ド派手にやってやるよ!)
周は笑いながら彼女の頭を撫で、後ろにいる若い連中に伝える。
(おめーらっ最後の一曲だ!派手にかますぞっ!)
男達は盛り上がり着々と準備して行く。
何故か知らないけどドラムやギターカメラなどもセッティングされている。
看守達もセッティングされているものを見て唖然としている。
(俺達はなこの工場のメンバーで密かにバンドやってんだ、カメラとかはネットなどにあげる時使ってんだがうちには優秀なハッカーが一人いてな今回は日本中に映像ながしてやるぜ)
彼女の隣で周が笑いながら看守に聞こえない声で言う。
彼女はその言葉を聞いて焦っているが少し楽しそうにも見える。
日が沈む少し前囚人の最後の歌がはじまる。
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