第5話 人魚の涙…

 昔々、ある一人の女性がいました。

 彼女は会社員でしっかり働いていましたが会社の同僚達はあまり彼女の事が好きでは無かったのでしょう。彼女の事をいない人にしたのです。

 彼女も最初は必死にその状況に抗いました。

 けれど誰も見てくれない、気づいてくれないふりの中で彼女は諦めてしまい、遂にはその孤独を受け入れ、仕事をし続けました。

 ある休みの日、彼女は一人で海に行きました。

 なんとなくだけどこの気持ちを楽にしたいと思い海の浜辺を歩きます。

 夕暮れ前で淡いオレンジ色が海にも写り綺麗に見ている時、一瞬だけど何か大きなものが海の中で跳ねました。

 彼女は不思議に思い海に少し足を入れ水の中を覗き込もうとした時、何かに手を引っ張られ海に引きずり込まれました。


 彼女は少しして目を開くと一人の人魚がいました。

 男か女か、人間か化け物か…彼女は何が起こっているかわからずパニックになっている時人魚が言いました。

(落ち着いて、深呼吸して。)

 彼女は言われたとうりに深呼吸して落ち着きました。

 息もできるし温かい不思議な空間…

(この空間は特殊でね地上と変わらない様になってる!

 ところでさ!君はどうしてあんなとこに居たんだい?この時間に人がいるのなんて初めてで思わず引きずり込んじゃったよ。)

 人魚は笑って話してくる。

 彼女も人魚のことを不思議に思いつつも誰かと話すのが久し振りで思わず普通に話している。

 人魚が言う時間とは逢魔が時の事を言っており人魚が話してくれた。

 人と人ならざる者が出会う時、夕暮れ時に起きる滅多にない奇跡の時間、僅かな時間しかないけど人魚に自分の事を話した彼女。

(もう時間がないから一つだけ君にプレゼント、人魚の涙、これを飲めば今の状況が必ず変わるよ!だけど一つだけ罪を背負って貰うよ。その罪は人によると思うから詳しいことはわかんないけど良かったら試して見てね!)

 人魚から貰った小さいガラスの瓶の中身は透明な水が少し入ってる、私は貰って迷わずに飲み干した。

 なんでも良かったこの状況から抜け出せれば、私は幸せになれると錯覚していた。

(まさかすぐ飲むとは思ってなかった、まぁでも君だから渡したんだけどね。

 罪は重いよ…人魚の一部だか…)

 人魚が何かを言っていたが私はあまり聞こえず意識を失った、この後におこる事も知らないまま…

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