隣の部屋

作者 美鶏あお

75

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★★★ Excellent!!!

 ホラーと呼ぶには、そこから見えて来る世界観が独特で、引き込まれると言うより、イシイとの並走感を感じながら読めた小説だった。
 そこには、怖いと言うよりも、文学を感じる後味が残る作品だったと思います。
 この作品は、まだ「連載中」との事なので無理せず、途切れさせないで欲しいと思います。

★★★ Excellent!!!

悩める青年・イシイの前に、ある日現れた隣人女性。
彼女の存在は、イシイの人生に様々なものをもたらした。
その中には、未知なる怪異に対する恐怖も含まれていた……

主人公の心理描写が白熱もの!
恐怖を含む様々な感情に、読者もいつしか共感し、グイグイと引き込まれてしまいます。
本当に怖いのは、怪奇現象?幽霊?それとも…?
イシイの体験、葛藤、意外な結末、その後の行先まで。
じっくりと追体験できるホラーなひとときを、ぜひ味わってみてください。

★★★ Excellent!!!

俺が昔、東京に住んでた時のある夜、アパートの表の踊り場の洗濯機を置いている場所と、ワンルームの部屋とを遮断している壁いっぱいの擦りガラスがあって、それ越しに落武者の姿を見ちゃって、そりゃもう動けなくて。

何とか落ち着いた後に、彼女に電話して慰めて貰おうと思ったら、彼女も俺のアパートで幽霊を見たって告白しだす始末。

もう何が何だかもう分からなくて、とりあえずその彼女と別れた途端、幽霊を見なくなりました。

★★★ Excellent!!!

読みはじめは王道のホラーのようですが、だんだんストーリーが一転二転していきます。
そこに淡い恋心もからんでいき、勇気をだした気弱な主人公の成長なんかもあって、4万字足らずとは思えない読みごたえがありました。
怪異の描写や心理描写が巧みで、恐怖心とハラハラを煽られます。
ラストも個人的に好きでした。完全にハッピーでもなくバッドでもなく……で、まだなにかありそうな不吉な感じも……
ゾクゾクしたい方におすすめの作品です。

★★★ Excellent!!!

傷心のこころを抱えて引っ越してきた主人公が目の当たりにする怪異を、一部ミステリーの要素も交えて進むこの物語。

しっかりとした『恐怖描写』もさることながら、主人公の心理描写にもぐいぐいと惹かれます。

弱気で、引っ込み思案で、だけど恋心は押さえられなくて……。
それなのに、あと一歩が……。
そんな主人公が、ぎりぎりのラインで踏ん張る後半。
怪奇現象に立ち向かう彼の様子に、「頑張れっ」と思わず応援してしまいました。

第一話『隣の部屋』の読後感は、ホラーでありながら非常にさわやかです。

『付記』については……。
夜、読んではいけません……。

いや、真面目に。
本当に。
これは、怖い……。

★★★ Excellent!!!

不気味な噂が絶えない街、日岸町。
この街の古いアパートに住む「イシイ」に襲い掛かる、戦慄の体験談。

隣人の肩に見える、見えないはずの手。深夜の物音。不可解な夢。非日常な恐怖に加え、悲惨な過去、街で起きたとある事件、アパートに忍び寄る謎の人影、知りたくなかった事実など、現実での出来事がイシイの精神を追い詰めていく。
そしてこれらの要素が一本の線に繋がり、そこに生まれた新たな謎が更に恐怖を加速させていく…。
洗練された構成によって、まるであやとりのように形を変える「恐怖の糸」。
次第に肥大していく霊的現象と共に、隣人女性との関係性が変化していくのも見所。
怪奇だけに焦点を置かず、これまでの自分と決別する為に恐怖に抗おうとする男の姿を描いている点も欠かせない。

度胸のある方は「付記 日岸町奇報」も是非見て頂きたい。
深夜に1人で読む事を躊躇ってしまうほどの恐怖に挑戦してみて下さい。

★★★ Excellent!!!

一般人が遭遇する怪談話を扱ったスタンダードなホラーです。
心理描写や怖さの演出は手堅く、きっちりといい仕事をしてくれます。

この作品の面白さは、その構成でしょう。
最初にまず、青年の葛藤や傷の克服を交えた、現代風の怪談が。
次に付記としてどストレートなオカルト話が続きます。
ちょっと「恐怖新聞」(古い例えかな……)を思わせるこの付記が、本編とは違うテイストで、まさに“二度美味しい”というサービスぶり。

ホラーで原因や由来を詳細に書いてしまうのは、無粋というものです。
残された数多くの謎は、人の知る所ではないのか、いずれ後の話でも絡んでくるのか……

続きを楽しみに待たせてもらいつつ、第一話「隣の部屋」を読んでのレビューでした。

★★★ Excellent!!!

主人公の男性がある女性に恋をして、辛く悲しい失恋を経験します。
主人公はそんな失恋で傷ついた心を癒そうと、怪異の噂が立つ町へと赴きます。

なぜか?

人は日常で起きた喪失を非日常の中で埋め合わせようとする生き物だからです。
(傷心旅行という言葉があるでしょう?)

作者はこれを作中で「人間は何かから本気で逃げ出したい時、今いる場所より明るいどこかに行きたいとは不思議と思わない。むしろ暗い方へ淋しい方へと足が向く」と看破します。

鋭い洞察だと思いました。

町に着いた主人公は、暗く寂しい木造アパートで、偶然にも失恋した女性と同じ名前の別の女性と出会います。
そしてそこで彼女と怪異体験を共有することになるのです。

果たして主人公の心の傷は本当に癒されるでしょうか。

ホラーでありながら恋愛小説でもある本作は、丁寧な情景描写とみずみずしい心理描写を交えた秀作です。

ぜひご一読ください。