第41話エピローグ
迷惑なことに、ななみはあれから元気をとりもどしてしまった。
良賢君のスピーチが公民館に保存されているのを触れ回って、それは自分の手柄だと自慢しまくっているらしい。
生徒会長にこんな迷惑をかけられたと生徒会に苦情があった。
「一年よ私のために道をゆずりたまえ」
不遜なこいつは顔も知らない一年に向けてそう言う。
「私はこの町で偉業をなした偉人だぞ。公民館に行けば私の落涙のエピソードを御覧に入れる」
勝手な事を言うななみに呆然としている一年。
ななみは、学校の床の真ん中にビニールテープを貼り始めた。
「庶民たちはこちらを通りたまえ」
「何言ってんだあんた」
「こっちはピップ専用通路だ。庶民たちが踏みしめていいところではないのだよ」
ビップと言いたいのだろう事は分かる。またこいつは知らない言葉を無理やり使おうとしたようだ。
「なんでこんなもん作るんだよ」
一年も負けずに反論。当然だ。
だがその反論におバカであるななみはやれやれと言った感じにかぶりを振っていた。
「こんなものを作る理由? 決まっているだろう。私が通るからだ」
この報告を聞いたとき、俺はななみを探し出して鉄拳制裁を加えてやった。
ななみがとおる 岩戸 勇太 @iwatoyuuta
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